○足元の価格動向：原油価格（ＷＴＩ期近）は、8月下旬に入ってガソリン価格の反落や投機筋のポジション解消に伴って26ドル台まで下落した。しかし、9月24日にＯＰＥＣが減産を決定してからは、ＯＥＰＣが12月4日の次期総会で追加減産を決定するとの思惑や、ナイジェリアでのストライキ観測、米北東部の厳冬予想などが影響して、31ドル台まで反騰している。

○投機筋のポジション：9月に入ってから買い持ちを大きく減らしていたが、ＯＰＥＣ減産決定以降は買い持ちを増やしており、価格上昇に大きく寄与している。

○需給動向：原油在庫は2億8千万バレル前後での推移が続いているが、前年比ではプラスに転じてきた。足元では在庫（↑）と価格（↑）の動きが乖離しており、価格が需給以外の要因によって上昇したことを示唆している。

○ＯＰＥＣの生産動向：サウジアラビアの9月の生産量は前月比19万b/d減少しており、高値維持に向けた供給抑制とも受け取れる。また、次期ＯＰＥＣ議長が「ＯＰＥＣは12月4日の次期総会で追加減産を決定する可能性があるものの、それには非ＯＰＥＣが同様の措置を取る必要がある」と発言したことなどを受けて、市場では早くも追加減産に対する思惑が強まっている。

○トピック：9月下旬以降の価格上昇には、ＯＰＥＣに対する追加減産期待や、ナイジェリアのストライキ観測などが影響している模様だが、冬の暖房油需要の約4分の3を占める米国北東部の気温も影響している。米国北東部（ニューヨーク市）の気温は、ＯＰＥＣ減産決定後の9月末から平年を下回って推移している。暖房油在庫はようやく前年水準並みまで積み上がってきたものの、昨冬のように気温が平年を大きく下回れば需給が逼迫して価格押し上げ要因となるであろう。このため、米国北東部の気温が平年を大きく下回ると、価格上昇期待が台頭し、投機マネーや冬に向けて貯蔵を増やしたいエンドユーザー、さらには、暖房油需要の増加を見込んだ精製メーカーが買い持ちを増やす誘因となる。

原油レポート No.16 足元の価格上昇は米国北東部の気温低下も影響

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