○足元の価格動向：原油価格（ＷＴＩ期近）は、ＯＰＥＣの追加減産を巡る思惑や、冬場の需給逼迫観測などに影響されて32ドル近くまで上昇していたが、足元では、利益確定の売りや、在庫増加を嫌気した売りに押されて30ドル程度まで下げている。

○投機筋のポジション：ＯＰＥＣの減産決定以降は買い持ちを増やし、純買いポジションに転じた。ただし、足元では最近の価格上昇を受けた利食い売りが増えていると推測され、買い持ちがやや減少している。

○需給動向：原油在庫は徐々に増加してきているものの、石油会社が高値での在庫積み増しに消極的なこともあり前年比では伸びが鈍化してきている。また、9月下旬から10月上旬にかけて米北東部の気温が平年を大きく下回り、中間留分在庫が一時減少していたが、足元では気温が平年並みに戻り、在庫も再び増加している。

○ＯＰＥＣの生産動向：価格上昇を受けて、ＯＰＥＣバスケット価格が20営業日連続して目標上限の28ドルを上回れば、加盟国間で協議の上50万b/dの増産を行なうとした「プライスバンド・メカニズム」の発動が一部で取り沙汰されている。しかし、11月から90万b/dの減産実施が決まっており、仮に原油価格の高騰が続き、増産の決定がなされるとしても12月4日の次回ＯＰＥＣ総会まで待つことになりそうである。

○トピック：9月下旬以降は原油の在庫よりも暖房油を含む中間留分の在庫の方がＷＴＩ価格とよく連動している。冬場の需要期を控えて中間留分在庫が取引の判断材料として重視されているからであろう。昨年の冬から今年の春先にかけて気温が平年を大きく下回り続けた結果、暖房油の需給が逼迫して原油価格の押し上げ要因となったことは記憶に新しい。足元では中間留分の在庫がようやく前年水準並みを回復してきたばかりということもあり、在庫の減少や気温の低下といった需給逼迫のシグナルに市場が過敏に反応している。しばらくは中間留分の在庫データから目が離せない展開となりそうである。

原油レポート No.17 目が離せない中間留分の在庫データ

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