○足元の価格動向：原油価格（ＷＴＩ期近）は、相次ぐテロ事件やイラクの治安悪化、ガソリン需給の逼迫などから約8ヵ月ぶりに33ドル台まで急反発したが、足元では利益確定の売りで30ドルを割っている。

○投機筋のポジション：冬の需給逼迫懸念の後退から純売りポジションに転じていたが、地政学的リスクの高まりやガソリン需給の逼迫に影響されて足元では再び純買いポジションに転じている。

○需給動向：冬の需要期に入ってきた中間留分（暖房油を含む）は在庫補填の動きが一服し、足元では3週連続して減少となった。ガソリンは感謝祭など祝日を控えて需給が引き締まり気味である。

○ＯＰＥＣの生産動向：英紙は、原油価格の上昇を受けてＯＰＥＣが11月から実施予定の減産合意（90万b/d）を順守していないと伝えている。価格（ＯＰＥＣバスケット原油）が28ドルを下回らない場合、ＯＰＥＣは12月4日の総会で増産の必要に迫られる可能性がある。

○トピック：エネルギー市場だけでなく、その他の商品市場でもほとんどの商品市況が上昇している。国際商品指数は2001年末を底に上昇を始め、足元ではアジア通貨危機前の高値水準まで戻している。商品市場全般の上昇を説明する１つの見方として、多くの投機家が商品市場に参入し、市場で純買いポジションを取ったからだというものがある。つまり、投機家が何らかの理由で商品を買うことを決めたわけだが、個々の商品には、天候不順で農産物の生育が悪かった、鉱山の減産で在庫が減ったといった特定のファンダメンタルズ要因が存在する。しかし、投機資金はファンダメンタルズ分析だけでなく、ファンダメンタルズ要因を増幅させる思惑や期待にも影響されながら純買いポジションを取ることがある。最近の商品市況の騰勢はファンダメンタルズ要因だけではなく、ドル安や米国株式市場の調整、地政学的リスクの高まりなどに影響されて価格上昇の思惑や期待が高まり、短期的な投機資金が商品市場に流入している可能性がある。

原油レポート No.19 活況を呈する国際商品市況

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ