○足元の価格動向・投機筋のポジション：原油価格（ＷＴＩ期近）は、中東でのテロ事件頻発で供給不安を強めた投機筋の買いが膨らみ一時33ドル台まで上昇したが、その後は利益確定の売りが顕著になり大幅下落となった。足元では、在庫統計が予想を上回って減少したことをきっかけに買い戻され、一部に減産の思惑もあった12月4日の総会でＯＰＥＣが生産枠据え置きを決定したにもかかわらず、米北東部の今冬一番の冷え込みを受けてヒーティングオイル相場が大幅上昇したこともあって高止まりしている。

○需給動向：原油在庫はいよいよ本格的な冬の需要期入りを受けて減少局面に入り、足元では2週連続して大幅減少となった。ヒーティングオイルを含む中間留分についても在庫増加は一服し、取り崩しの動きが出てきた。ガソリンは春先にかけて在庫が補充されることが見込まれるが、景気回復を背景に需給は引き締まり気味である

○ＯＰＥＣの生産動向：12月4日の総会では一部の加盟国から減産を求める声も出たが、価格が高止まりしていることから生産枠据え置きが決定された。価格はプライスバンドの上限にあり、「原油高は地政学的リスクを反映している」としながらも、ＯＰＥＣにとっては心地よい水準であると言える。ただし、季節的な不需要期入りとイラクの生産回復により来年第2四半期は大幅な供給過剰となることが予想されるため、来年2月10日に臨時総会を前倒しで開催し、減産を協議することでも合意した。

○トピック：ＩＥＡは景気再加速にともなう需要拡大を受けて需要見通しを2003年、2004年についてそれぞれ20万b/d上方修正した。原油価格は相変わらず高止まりを続けているが、実需に基づく価格押し上げ要因が持続的に働かなければ価格が現在の高値水準を維持することは難しい。価格高止まりの背景には需要が想定を上回るペースで拡大していることもあると推察される。そこで、モノの動きを敏感に反映する用船市場の動きをみてみると、原油タンカー運賃が11月に入って高騰しており、船舶需給が逼迫している。タンカー運賃は足元ではやや落ち着いているものの、引き続き高値圏で推移しており、用船市場の面からも原油需要の好調ぶりが裏付けられる。

原油レポート No.20 需要好調を裏付ける海運市況の急上昇

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