○足元の価格動向・投機筋のポジション：景気回復に冬の需要期が重なったことを背景に在庫が大幅減少している。このため、需給逼迫懸念の台頭から投機資金の流入が活発化し、原油価格は昨年3月のイラク戦争前の高値水準に近づいている。

○需給動向：景気回復に冬の需要期が重なったことを背景に米国原油在庫が需給逼迫の目安とされる2億8千万バレルを割り、足元では2億6千万バレル台まで急速に取り崩されている。一方、ヒーティングオイルを含む中間留分在庫は精製量拡大もあって1億3千万バレル台で横ばい推移となっている。ガソリンは需要期（4月～9月）に向けて在庫が補充されているが、景気回復を背景に需給は引き締まり気味である。

○ＯＰＥＣの生産動向：昨年9月のＯＰＥＣ総会に出席したイラクのウルーム石油相は、12月までに230万b/dの生産が可能と表明していた。しかし、輸出パイプラインの復旧が遅れている北部油田の生産が落ち込んだままで、イラクの産油量は200万b/d程度にとどまっている。また、原油輸出をドル建てで決済しているＯＰＥＣはドル安進展により購買力ベースの現金収入は思ったほど伸びておらず、次第に価格上昇を必要とし始めている。こうした中で開催される2月10日の臨時総会でＯＰＥＣが減産を決定するかが注目される。

○トピック：高水準で推移する原油価格を背景に産油国経済が急回復している。2003年のサウジアラビアの実質ＧＤＰ成長率は前年比＋6.4％、名目ＧＤＰ成長率は前年比＋12.0％と高い伸びが見込まれる。財政収支は、歳入が大幅に増加したことから3年ぶりに黒字転換した模様である。サウジアラビアの財政収支は1981年度以降、2000年度と2003年度を除けば価格低迷と歳出増加で赤字が続いている。2004年度予算は、歳出増加により財政収支は再び赤字に転じる見込みだが、予算の前提条件となる原油価格（サウジ産原油）は23ドル程度と試算される。価格は足元で30ドルを越えて推移しており、高値が続けばサウジアラビアは2年連続して財政黒字を達成する可能性が高い。

原油レポート No.22 急回復する産油国経済

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