○足元の価格動向・投機筋のポジション：景気回復にともなう需要拡大に暖房油需要の増大期(第1四半期)が重なり、すでに低水準にあった原油在庫が一段と減少している。WTI先物市場では、需給逼迫による価格先高感を背景に投機資金の流入が拡大して、期近物を中心に価格が高騰している。

○需給動向：製油所の供給量拡大によって原油在庫が急速に取り崩される一方、需要期のピークにある中間留分(含むヒーティングオイル)は供給の増加が需要の増加を上回って在庫が積み増されるなど、川上と川下で需給がアンバランスとなっている。

○OPECの生産動向：報道によると、原油価格が高騰していることからOPECは2月10日の臨時総会で現行の生産枠を3月以降も据え置く案を軸に検討していることが分かった。原油価格がイラク戦争後の最高値を付ける中で、生産据え置きの意見が加盟国内に広がっている。

○トピック：原油価格がイラク戦争終結後の最高値を付ける中で、OPECに対する増産圧力が強まっている。OPECバスケット原油は、昨年12月2日から34営業日連続で目標価格の上限である28ドルを上回っているが、プライスバンド･メカニズムの発動は見送られたままである。また、OPECは、2月10日の臨時総会で現行の生産枠を3月以降も据え置く方向で検討しており、生産枠引き上げには慎重である。OPECが増産に慎重な理由は、（1）イラクの生産･輸出回復が予想されること、（2）季節的な不需要期である第2四半期に価格下落が予想されること、（3）ロシアなど非OPEC産油国の供給拡大が予想されること、などが挙げられる。しかし、実際には加盟国が割当量を超えて生産してきた結果、すでに産油能力の近くまで原油を増産しているという事情があるのではないか。OPEC加盟国の原油生産の稼働率(生産量／産油能力)をみると、イラン、クウェート、リビアがほぼフル稼働で生産を行っているほか、UAE、カタール、ベネズエラ、インドネシア、アルジェリアもフル稼働に近い状態で、全体的にOPECの増産余力は乏しい。

原油レポート No.23 価格高騰はOPECの責任ではない

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