○ＷＴＩは寒波の影響で一時36ドル台まで急騰

米国北東部の気温が平年を大きく下回ったことを受けて、製油所が暖房油増産のために原油在庫を急速に取り崩した。このため、需給逼迫懸念が強まり、投機筋の買いが活発化して原油価格（ＷＴＩ期近物）は一時36ドルを上回った。ただし、足元では気温が平年並みを回復し在庫の取り崩しも一服していること、供給拡大の効果もあって最終製品の需給逼迫にはつながっていないこと、などから32ドル台まで戻している。

○ＯＰＥＣは2月総会での減産は先延ばし

ＯＰＥＣは2月10日の臨時総会では現行の生産枠を3月以降も据え置くことで合意する見通しである。現状では、季節的な需要拡大とイラクの生産回復のもたつきにより減産を先延ばししても価格下落リスクは小さいと判断していると考えられる。ただし、次回3月31日の定例総会では第2四半期の需要縮小に対応して減産に踏み切る可能性がある。生産規模が大きく増産余地も大きいサウジアラビアの生産超過率の低さを見ても分かるように、ＯＰＥＣは先行きの価格下落リスクをかなり意識している。

○今回のトピック『原油高が日本経済に与える影響』

企業は、原油高にともなうコスト上昇を価格転嫁できなければ収益が圧迫される。石油・石炭製品の投入比率が高い石油・石炭製品、化学製品および川下の製品ユーザーである運輸、電力・ガス・熱供給について原油価格上昇の影響を考えてみた。まず、石油・石炭製品工業では1999年頃から業界再編による設備集約を行って過剰設備を解消しており価格転嫁力を取り戻している。それに対して、化学製品は設備過剰の状態が続いている上に、中国からの安価な競合品の輸入が急拡大しており、価格転嫁が進んでいない。一方、川下のユーザーである運輸は川上からの値上げ圧力と価格競争の板ばさみにあっており、原油価格上昇のしわ寄せがいきやすい。また、電力・ガス・熱供給は規制緩和で競争が厳しくなってきているとは言え、燃料費調達制度により原材料価格の上昇を価格転嫁できる仕組みになっている。そのため、原油価格上昇は電力・ガス料金の値上げを通じて消費者に負担をもたらすことになる。

原油レポート No.24 原油高が日本経済に与える影響

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