○ＷＴＩは約13年ぶりの38ドル台に急騰

ＷＴＩ原油（期近）は、湾岸戦争以来約13年ぶりの高値となる38ドル台に急騰している。価格急騰の要因は、(1)サウジアラビアやＵＡＥが長期契約に基づく原油輸出の契約量を4月から削減すると消費国に通告したため、ＯＰＥＣが予定通り減産を実施するとの見方が強まったこと、(2)米国において春の行楽シーズンと4月からの品質規制強化を控えてガソリンの需給逼迫感が一段と強まっていること、(3)スペイン、イラクで相次いだ大規模テロ事件を受けて、新たなテロに対する懸念が強まっていること、さらに、こうした要因に影響されて投機資金の流入が拡大していることがある。

○ＯＰＥＣが4月からの輸出量削減を通告、減産姿勢崩さず。

ＯＰＥＣは2月の総会で、3月までに超過生産分を解消することを決めていたが、価格高騰が収まらないことから足元でも超過生産を続けている。ＯＰＥＣは、4月以降の原油輸出量削減を消費国に通告しており、4月からは減産を予定通り実施する姿勢を崩していないが、3月31日に開かれる総会で減産延期等が決まる可能性もあり、減産実行は流動的である。

○今回のトピック：世界的な過剰流動性と商品市況の先行き

国際商品市況が急上昇しており、その理由として、中国の要因に注目が集まっている。確かに、一次産品の純輸入国としての中国のプレゼンスは急速に拡大しているが、実際の需給要因以外にも商品市況の急速な上昇の要因がありそうである。現在の商品市況は、世界経済の回復にともなう需要拡大に加えて、金融緩和によって生じた世界的な過剰流動性が、買い手として存在感を強める中国や、ドルに対する信認低下、テロに対する懸念、などに影響されて流入し、相場が需給要因以上に押し上げられていると考えられる。商品市況は、世界景気の回復を背景にしばらく上昇トレンドを維持する可能性が高い。しかし、今年終わりになると、米国経済の減速、あるいは景気が減速しなければ米金融緩和策が引き締めに転じる可能性があることから、商品市況に調整が入る可能性がある。

原油レポート No.27 世界的な過剰流動性と商品市況の先行き

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