○ＷＴＩは約13年ぶりの38ドル台に急騰

ＷＴＩ原油（期近）は3月下旬に、湾岸戦争以来約13年ぶりの高値となる38ドル台に急騰した。しかし、一部のＯＰＥＣ加盟国から3月31日の総会を前に4月からの減産を先送りする案が出たことから35ドル台に下落した。結局、ＯＰＥＣは総会では4月からの減産を予定通り実施することで合意したが、実際に減産がどの程度実施されるかは疑わしい。足元では、ガソリン価格高騰に頭を悩ませる米国政府が、4月から実施予定であったガソリン品質規制強化の一時凍結を検討し始めたことで、ドライブシーズンに向けてガソリン需給の逼迫が一段と進むとの懸念が薄らぎ、ＷＴＩ原油は34ドル台に下落している。

○ＯＰＥＣは4月からの減産を予定通り実施することで合意

ＯＰＥＣは3月31日の総会で、4月からの減産を予定通り実施することで合意した。最近の価格上昇を受けて、クウェートやＵＡＥからは減産延期案が出ていたが、第2四半期の季節的な需要減少にともなう価格下落を回避するためには4月からの減産実施が必要であると判断した。ただし、減産がどの程度実施されるのかは疑問で、実際に価格が下がり始めないとＯＰＥＣが減産に真剣に取り組むことはなさそうである。

○今回のトピック：他機関の原油価格見通し

50を越える民間予測機関の見通しを集計した『Consensus Forecasts』によると、ＷＴＩ原油（現物）は、2004年6月末時点で30.7ドル、2005年3月末時点で29.1ドルがコンセンサス（中間値）となっている。また、米エネルギー情報局（ＥＩＡ）も、イラクの生産・輸出回復にともなう在庫の積み増しが価格下押し要因となるものの、ＯＰＥＣの減産スタンスやベネズエラの供給不安などから、原油価格は30ドル前後で高止まりすると予測している。現状の35ドル前後という高値はいったん調整されるものの、その先は30ドル前後で高止まりするとの見方が市場関係者のコンセンサスとなっているようである。

原油レポート No.28 他機関の原油価格見通し

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