原油市況
6月1日に42.33ドルの上場来最高値を更新したＷＴＩ原油価格（期近物）は、同月3日のＯＰＥＣ増産合意や、28日のイラク暫定政権への主権移譲を経て35ドル台に下落するなど調整局面を迎えた。その間にもイラクでは大規模なテロ事件が起こったが、相場にはあまり影響せず、供給不安が後退する中で市場の関心は「イラク」から「需給」に戻りつつある。また、米国でガソリン価格が下落していることも原油価格の下落要因となっている。しかし、イラクの治安は依然として懸念材料となっており、他の中東産油国でのテロ懸念が消え去ったわけではない。足元では、価格がある程度下がったところでファンドの買い戻しが入り、再び38ドル台に戻すなど、相場は必ずしも弱気一辺倒ではない。当面は、需給動向に変化を及ぼす大きなニュースがない限り、さらに上がることは考えにくい。原油価格は30ドル台後半の高値水準でのこう着が続きそうである。
トピック；需要のピークは今である
ＩＥＡが発表している2004年の世界需要見通しは、今年に入ってから立て続けに上方修正され、今年6月時点では前年比2.9％増と1980年以来の高い伸びが見込まれている。世界景気の回復力が強まっており、需要が想定を上回って拡大している。しかしながら、米国では6月30日にＦＲＢが25bpの利上げを決定している。また、中国でも政府による引き締め効果が徐々に出てきており、生産活動は減速気味である。ＩＥＡの見通しによると、2004年後半にかけて世界景気の減速を受け、世界の原油需要の伸びも鈍化していくことが見込まれている。伸び率でみた場合の需要のピークはまさに’今’ということになるだろう。今後は、需要の伸びが鈍化してくるにつれて、需給ギャップの縮小ペースが一服してくることが予想される。

原油レポート No.34 需要のピークは今である

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ