１.原油市況～なお50ドルを上回って荒い値動きが続くＷＴＩ先物原油は10月1日に50ドル（終値）の大台を初めて突破した後も上昇ピッチを緩めず、10月22日には55.17ドルの史上最高値を更新した。その後、米国石油統計で原油在庫が回復してきていることや、中国の利上げの影響によって原油需要の伸びが鈍化するとの見方から急落したが、なお50ドルを上回って荒い値動きが続いている。
一方、代表的な中東産重質油でアジア向け価格の指標となっているドバイ原油はあまり上昇しておらず、現状は、欧米・軽質油（ＷＴＩ，ブレントなど）が割高、アジア・重質油（ドバイ,オマーン原油など）が割安となっている。冬を前に北米や欧州では灯油の精製に適した軽質油に対する需要が増加する一方、紛争やストによって軽質油であるナイジェリア産原油の生産・輸出に支障が出ており、軽質油に対する需給逼迫懸念が高まっている。特に、米国ではハリケーンの後遺症で原油の生産・精製が減少しており、ヒーティングオイルの在庫が低水準にとどまったままである。供給面で目立った改善がない限り、短期的には価格が再び上昇する可能性がある。
トピック～変動が増す原油価格原油価格の値動きが荒くなっている。ＷＴＩ原油先物価格の変動幅を表す標準偏差は1998年頃から拡大し始め、2004年になると拡大ピッチが加速している。価格の変動は、生産者や消費者にとっては収益やコストの変動を意味するが、ファンドにとっては収益機会の拡大を意味する。
ファンドの基本的な運用スタイルは、価格上昇局面では先物買い、価格下落局面では先物売りである。そして、先物市場における「利ざや」は現在と将来の価格差の割引現在価値であり、価格差が生じなければ「利ざや」はゼロである。つまり、ファンドは価格の変動がなければもうけることはできず、逆に価格の変動が大きければ大きいほど「利ざや」を稼ぐチャンスがある。米国先物取引市場に上場している商品先物の騰落率ランキングを見てみると、原油は高い上昇率を誇っており、収益機会の大きい投資対象であったことが窺われる。

原油レポート No.42 変動が増す原油価格

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