原油市況～ピークアウトした可能性が高いＷＴＩ先物原油はメキシコ湾岸を襲ったハリケーン（「アイバン」）による被害拡大を受けて、米国内の需給逼迫感が急速に強まり、10月22日に55.17ドルの史上最高値（終値ベース）を付けた。しかし、その後は、米国石油統計で原油在庫が回復してきたことや、世界景気の先行き懸念が強まってきたことなどから下落に転じている。さらに、足元ではナイジェリアのスト回避などを受けて47ドル台まで下落しており、原油市況はすでにピークアウトした可能性が高い。
ただ、代表的な中東産重質油でアジア向け価格の指標となっているドバイ原油とＷＴＩ原油のスプレッドはピーク時よりは縮小しているものの、依然として欧米・軽質油が割高、アジア・重質油が割安となっている。冬を前に北米や欧州では需給逼迫懸念がなお根強く、特に米国ではヒーティングオイルの在庫が低水準にとどまっているため、短期的には価格が強含む可能性が残る。
トピック～2005年は循環的な価格下落局面へあらゆる商品（一次産品）の需給には、供給制約に起因する「循環性」が存在する。これは金融資産には見られない一次産品特有の性格である。
すなわち、1）景気の拡大によって需要が増加する一方、供給はすぐには増やせないため需給が逼迫する、2）需給逼迫によって価格が上昇し、資源国の開発投資が増加する、3）開発投資の効果が出てきて供給が増加する一方、価格の上昇によって需要の増加テンポが鈍化するため需給が緩和する、4）需給緩和によって価格が下落し、資源国の開発投資が減少する、というコモディティ・サイクル（1→2→3→4→1）がある。

これを原油にあてはめてみると、前述の1）、2）を経て、今後は3）、4）のサイクルに入ってくる見込みである。コモディティ・サイクルから2005年の原油相場を見通すと、需給面からは循環的な価格下落局面に入る公算が大きい。

原油レポート No.43 2005年は循環的な価格下落局面へ

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