原油市況；すでにピークアウト、足元は短期的な価格上昇ＷＴＩ先物原油は、足元で暖房油（軽油含む）や天然ガスの在庫レベルの低下から、暖房シーズン突入を前に需給逼迫懸念が再燃し、価格は再び50ドル近くまで上昇している。ただ、これまでの価格上昇や世界景気の回復テンポの弱まりを受けて需要見通しが下方修正されており、原油市況はすでにピークアウトした可能性が高い。足元の価格上昇は、暖房シーズンを控えた短期的な動きであると考えられる。
その証拠に、ドバイ原油とＷＴＩ原油とのスプレッドが、足元で再び拡大しており、暖房油の精製に適した欧米・軽質油が割高、アジア・重質油が割安となっている。冬場の需要期に入る北米や欧州では、需給逼迫感から最終需要家を中心に暖房油の在庫を手当てする動きが拡大し、「暖房油価格の上昇」→「ＷＴＩ原油価格の上昇」という連鎖を招いていると推測される。
トピック；暖房シーズンの相場を見通す原油市場では本格的な冬の到来を前に、暖房油の在庫レベルや気象情報に関心が集まっている。足元の暖房油（軽油含む）の在庫水準は通常レベルの下限を割り込んでいるが、気温（米北東部）は平年を上回って推移している。暖房シーズンは気象という予測困難なものを相手にしなければならず、原油相場の先行きは読みにくい。ＥＩＡは気温が昨年よりやや低いとの想定から、今年の冬の暖房油の需要を約420万b/dと昨年の冬を10万b/d程度上回ると予想している。そして、暖房油の価格は今後も高止まりが続き、昨年の冬を29％も上回ると予想している。暖房油価格の上昇は、暖房油の生産に用いる原油の需要増加を招くとの思惑や、市場間取引を通じて原油価格の上昇をもたらす。市場では、早くも原油価格は年内に40ドルまで下落するとの見方も出てきているようだが、暖房油の在庫レベルが低位にとどまる中で、気温が想定以上に低下すれば、暖房油価格の上昇が原油価格を押し上げるであろう。先行きについて強気の見方と弱気の見方が交錯し、踊り場を迎えた感のある原油相場だが、しばらくは気象予報によって原油価格が想定より上振れする可能性が残る。当社では、ＷＴＩ原油先物価格を2004年10-12月期（期中平均）で51ドル、暖房シーズン明けが見えてくる2005年1-3月期で45ドルと予想している。

原油レポート No.44 暖房シーズンの相場を見通す

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