１．原油市況；底固い世界原油市場の基調ＷＴＩ原油価格は、米国の在庫レベルの回復や世界景気の先行き懸念拡大、北半球の暖冬予想などから昨年12月に40ドル台前半まで下落した。足元では、一時的な冷え込みにともなう米国の暖房需要の増加やＯＰＥＣの減産観測の浮上、イラクでのテロ激化などを受けてやや強含んでいるが、基調としては40～45ドル付近で方向感のない値動きがしばらく続いている。目先は、1月30日のイラク制憲議会選挙および同日に開催されるＯＰＥＣ総会の行方が注目材料となろう。
一方、アジア向け原油の指標価格であるドバイ原油は、昨年後半から35ドル付近で横ばい推移となっている。ＷＴＩ原油の下落は、ハリケーン襲来の影響とそれを材料にした投機資金の流入拡大といった米国の地域的・個別市場的な要因が剥げ落ちただけとも考えられる。ＷＴＩ原油以外の原油市況はおおむね高水準・横ばいとなっており、世界原油市況の基調は総じて堅固い。
２．トピック；原油価格の期間構造ニューヨーク商業取引所のＷＴＩ原油先物契約は35ヵ月物まで取引されている。そして、先物価格の限月推移（フォワードカーブ）は、その時々の市場が形成する長期原油価格の期待値を表している。もちろん将来の価格が、現在の予想通りになるわけではないが、各時点における市場の将来予想を知る上では参考になる。
2002年以降のフォワードカーブを見てみると、2003年頃までは1ヵ月先物が20ドルから35ドルの間で変動していたにもかかわらず、フォワードカーブは25ドル付近に収斂していた。しかし、2004年以降は1ヵ月物の上昇にともなって、先物価格カーブも上方にシフトしている。これは、2004年以降、市場の将来期待が変化したことを意味する。すなわち、「価格は現在のレベルに関係なく、中長期的には25ドル付近に落ち着く」との見方が後退し、「価格は中長期的に水準を切り上げる」との見方が支配的になった。直近時点（1月10日）のフォワードカーブは、市況が最高値（月中平均）を付けた2004年10月よりフラット化し、40ドル付近に向かって収斂している。市場心理や将来期待を変化させる予期しない出来事が起こらない間は、原油市況は40～45ドルの狭いレンジ内で推移する可能性が高い。

原油レポート No.46 原油価格の期間構造

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ