１．原油市況；高まる短期的な上振れリスクＷＴＩ原油価格は、寒波襲来にともなう米国の暖房需要増加や、ＯＰＥＣの減産観測の浮上、イラクでの選挙を前にしたテロ激化などを背景に1月半ばには一時48ドル台まで反発した。その後、投機家の利益確定の売りや、米国で製品輸入拡大による在庫レベルの回復が確認されたことなどから一度は46ドル台に下落した。しかし、米北東部が大雪に見舞われると、暖房油の需給逼迫懸念が強まり、足元では48ドル台に再反発している。また、足元ではアジア向け原油の指標価格であるドバイ原油も上昇しており、一時は40ドルを超えた。米国での寒波襲来は直接的にはアジアの需給に影響しないが、アジアからの製品輸入拡大を通じて間接的にアジアの現物需給を逼迫させる。世界景気は減速しており、需要拡大の勢いは弱まってきているものの、原油市況は「冬の気象」と「ＯＰＥＣの減産」と「イラクの治安」という3つの時限爆弾を抱え、短期的には上振れリスクが高まっている。
２．トピック；ＯＰＥＣ総会について考えるＯＰＥＣは一枚岩でない。市況が高値圏にあるうちはいいが、市況が崩れてくると足並みが揃わなくなる可能性がある。すなわち、経済水準（１人あたりＧＤＰ）が低く、総輸出収入に占める原油輸出収入の比率が高い加盟国ほど、減産を行う経済的余裕が小さい。減産を行う経済的余裕が小さい順にＯＰＥＣ加盟国を挙げていくと、(1)イラク、(2)ナイジェリア、(3)リビア、(4)ベネズエラ、(5)イラン、(6)アルジェリア、(7)サウジアラビア、(8)クウェート、(9)インドネシア、(10)ＵＡＥ、(11)カタール、となる。上位に挙げられた国ほど、原油輸出収入を拡大する誘因が大きく、増産志向あるいは高価格志向が強い。投資拡大により産油能力が大きく伸びているナイジェリア、リビア、アルジェリアは増産志向が強いのに対して、設備老朽化や油田枯渇により産油能力が伸び悩んでいるイランや、ストの後遺症で産油能力が大きく落ち込んでいるベネズエラは高価格志向が強い。また、需給調整役として価格に大きな影響力を持つサウジアラビアは人口増と高失業問題を抱えており、高価格志向が強いと思われる。一方、クウェートのように経済的に豊かな国、あるいはインドネシア、ＵＡＥ、カタールのように天然ガス輸出収入が一定の割合を占める加盟国は、減産を行う経済的余裕がある。

原油レポート No.47 ＯＰＥＣ総会について考える

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