原油市況；需要見通し上方修正で強含みＷＴＩ原油先物価格は、(i)ＯＰＥＣの生産枠据え置き、(ii)イラク国民議会選挙の成功、(iii)気温上昇にともなう暖房需要減少、などが弱材料となって2月上旬には45ドル台まで下落した。しかし、足元ではＩＥＡとＯＰＥＣが月次報告書の中で2005年の世界需要見通しを上方修正したことや、ＯＰＥＣが3月16日の総会で生産枠を引き下げるとの観測が強まっていることなどが強材料となって再び48ドル台に強含んでいる。
トピック；インプライド・ボラティリティから読む原油価格の先行き変動の大きさを指す’ボラティリティ(volatility)’には、過去のデータから求めるヒストリカル・ボラティリティ(ＨＶ)と、将来の期待変動率を表すインプライド・ボラティリティ(ＩＶ)がある。ここでは、最新のデータを反映するＩＶをブラック・ショールズの公式を用いて推計し、値動きが大きくなることが期待できるのか、あるいは、できないのかを見てみた。
コール・オプションのインプライド・ボラティリティ（アット・ザ・マネー）を見ると、2004年春先から価格上昇にともなってＩＶも高まっており、市場参加者は将来の値動きが大きくなると予想していたことが窺い知れる。そして、2004年10月に価格が55ドルの大台に達し、ピークアウトした後もＩＶは高まったことから判断すると、市場参加者は価格が大きく乱高下するだろうと期待していたようである。しかし、2005年1月をピークにＩＶは急速に低下しており、市場参加者の期待に大きなトレンド変化が生じた可能性が示唆される。足元のＩＶの急低下から判断すると、今後、市場参加者の期待を変えるようなイベントが起こらなければ、値動きが大きくなることは期待できなそうである。当面は40ドル台後半で揉み合いが続く可能性が高く、高値こう着の状況が長引きそうである。

原油レポート No.49 インプライド・ボラティリティから読む原油価格の先行き

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ