原油市況～上昇しているWTI原油価格（期近）は、(i)拡大傾向が続く世界景気、（ii）米北東部への寒波襲来、（iii）ＯＰＥＣの供給引き締めスタンス、そして、(iv)これらの要因に影響された投機筋の買い持ち増加、などによって2004年10月以来となる53ドル台に上昇している。とりわけ、米国経済の底堅い回復が続き、国際エネルギー機関（IEA）が今年1月、2月と2ヵ月連続して需要見通しを上方修正するなど、世界景気の先行きに対する懸念が払拭されつつあることが市場心理を強気にさせている。米エネルギー省はドライブシーズンを迎える春以降、ガソリン需給が逼迫するとの懸念を示しており、原油市況は当面高止まりする可能性が高い
トピック～足元の価格急上昇をどう考えるか同じ50ドル台まで上昇したと言っても、2004年10月と足元では状況が大きく異なる。2004年10月は米西海岸をハリケーン「アイバン」が襲って、米国の原油生産が大幅に減少し、一時的に原油需給の逼迫感が強まったことが価格急上昇の要因となった。それに対して足元は、米北東部への寒波再来という地域的な要因に加えて、世界景気の先行きに対する楽観的な見方が広がっていることが大きく影響している。将来に対する市場の期待変化はフォワードカーブにも見て取れ、将来の需給逼迫を予想した市場参加者が先高感から期先物の買い持ちを増やし、価格を押し上げている。目先、原油市況は寒波の影響によって押し上げられている分はある程度調整する可能性があるが、世界経済が底堅さを増していることで将来の期待価格が引き上げられており、昨年12月のように大幅反落する可能性は低下していると言えよう。

原油レポート No.50 足元の価格急上昇をどう考えるか

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