１．原油市況～最高値更新が続き、60ドルを試す展開に

ＷＴＩ原油価格（期近物）は、世界景気の拡大傾向が続いていることに加え、春の行楽シーズンを迎えるガソリンの需給逼迫感が強まっていることから、最高値（終値ベース）を更新し、57ドル台に上昇している。

２．トピック～非ＯＰＥＣ産油国の供給見通し下方修正

現在、原油の在庫は増えており、原油の供給は過剰である。それにもかかわらず、原油価格が上昇しているのは、短期的にはガソリンなど石油製品の需給逼迫感が、中長期的には原油需給の逼迫予想が、価格を押し上げているためである。このため、ＯＰＥＣによる増産決定も、増産分がガソリン精製に適さない重質油であるために短期的な価格押し下げ効果はなく、また、増産による生産余力の低下は将来の需給逼迫を予想させるため中長期的な価格押し下げ効果もないという結果をもたらしている。

これに対して、ＯＰＥＣには無理でも、原油高を背景に生産能力を増強している非ＯＰＥＣ産油国の供給拡大は、増産分がガソリン精製に適した軽質油であり、生産能力や確認埋蔵量の増加は中長期的な需給逼迫感を和らげる効果があるとの期待がある。しかし、ＩＥＡの見通しによると、非ＯＰＥＣ産油国の2005年供給見通しは、2004年7月時点の5,132万b/d（前年比＋120万b/d）から2005年3月時点には5,098万b/d（同＋92万b/d）にまで縮小している。国別に見ると、米国、カナダ、イギリスなど油田の生産力が低下している国で大きく下方修正されており、当初見通しはこれらの国の供給を過大評価していたことになる。非ＯＰＥＣ産油国の供給見通し下方修正は中長期的な需給逼迫を予想させ、価格を押し上げる。市場が「拡大を続ける需要に、供給が追いつかない」と感じる理由は、ＯＰＥＣの生産余力低下だけではない。

原油レポート No.52 非ＯＰＥＣ産油国の供給見通し下方修正

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