１．原油市況～ハリケーンやテロ事件で乱高下

ＷＴＩ原油価格（期近、終値ベース）は、6日に61.28ドルをつけたのち、ロンドンでのテロ事件の影響による株価下落や景気の先行き懸念により11日には58.92ドルまで下げた。13日には、IEＡ（国際エネルギー機関）が改定見通しにおいて2005年の需要増加を日量178万バレルから158万バレルへと下方修正し、米週次統計でも中間溜分（暖房油やディーゼル油など）の在庫が増加し、第4四半期に向けての需給逼迫懸念を緩和する材料が出てきた。また、ガソリン在庫も、需要のピークである米独立記念日の週末を終えて前年比プラスを維持している。ハリケーンの発生が相場の押し上げ要因となる局面もあったが、石油関連設備への影響が小さいと判断されると相場は下げ、18日の終値は57.32ドルとなっている。

２．トピック～原油高で油田開発が活発化

原油価格の上昇を受けて、油田開発が活発化してきている。「リグカウント」は稼動中の油田掘削機の数を調べたものであり、油田開発の先行指標となる。世界のリグカウント数は2005年6月時点で2580件と、前年比13％増加している。

1979年後半から1984年にかけて4000件を上回るリグカウント数を記録していたことからすると、依然、石油産業の投資意欲は低いままとも見えるが、当時は、イラン革命やイラン・イラク戦争による供給懸念や米国内の石油価格統制の解除によって、原油先高感が過熱したという事情がある。また、地震波を使った石油探査技術の向上、海底油田開発技術の向上、掘削技術そのものの向上など、従来ほどリグカウント数が増えなくても、実際の油田開発のペースはある程度保たれる要因もある。

リグカウントの地域別動向をみると、確認埋蔵量が多く油田の規模が大きいと考えられる中東地域のリグカウント数がすでに過去のピーク時並みになってきている。イランやイラクなど政治情勢に問題を抱えている国を除けば、足元のリグカウント数は178件と82～99年の平均値の90件の約２倍になっている。探鉱の段階から新規に始められている油田開発は、5～10年程度すると実際の供給力になってくる。また、新規の油田開発ではないが、二酸化炭素や水の注入による生産力回復など油田の改修も進んでいる。

原油レポート No.59 原油高で油田開発が活発化

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ