１．原油市況～反落気味で推移も、月末に製油所火災で上昇

ＷＴＩ原油価格（期近、終値ベース）は、7月6日に61.28ドルをピークに反落が続いていた。ハリケーン・デニスの通過により精製がストップしたにもかかわらず、20日発表の米週次統計では、在庫がほとんど減っていなかったため、価格は56.72ドルまで下落した。しかし、29日には米テキサス州にある全米3位の製油所で火災が発生したことから、ガソリン供給に対する不安が強まり、61.05ドルとなった。このほか、ルイジアナ州の製油所でも火災が発生するなど、高い稼働率で操業し補修を先延ばしする傾向が事故の増加につながっていると危惧する見方もある。

２．トピック～米国の主要商品先物市場の動向

投機資金の流入が、原油相場上昇の一因として指摘される。その場合、資金の流入先は先物市場が中心になろう。今回は、米国の主要商品の先物市場の規模の動向をみてみたい。ここでは、建て玉枚数に価格を掛け合わせた建て玉残高を市場規模とした。

2005年6月時点の米国の主な商品の先物建て玉の残高を商品市況全般が上昇に転じる前の2001年6月と比較してみると、主な品目で残高が増加しており、各市場に資金が流入しているといえる。特に、金（3.8倍）、原油（3.5倍）、大豆（3.1倍）、コーヒー（3.1倍）、銀（3.1倍）など残高が３倍以上に増加しているものもある。しかし、それらの品目で価格上昇が大きいかというと必ずしもそうではない。

資金流入ペース（＝市場規模の拡大率）と価格上昇率、建て玉枚数増加率の関係をみると、先物市場に資金が流入している品目ほど建て玉枚数も増える傾向にあるが、その関係に比べて、価格が上昇する傾向は弱い。価格が大幅に上昇している品目には、資金流入以外にそれぞれ個別の理由があると考えられる。

例えば、中国や新興国の需要の拡大や供給力の制約が意識され易くなっている銅、原油では価格上昇率が大きくなっているとみられる。また、コーヒーは最大生産国であるブラジルの不作が伝えられ、暖房油、天然ガス、ガソリンは、原油との連動性強いことが背景にある。

原油レポート No.60 米国の主要商品先物市場の動向

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