１．原油市況～石油製品高による需要鈍化を受け、原油相場は軟化地合い

原油価格（ＷＴＩ期近物）は8月末に一時1バレル70.85ドルをつけた後、下落傾向で推移し、10月10日の終値は1バレル61.80ドルと3日連続で61ドル台であった。

ハリケーン被災からの復旧ペースは緩やかであり、当面、原油や天然ガスなどエネルギー関連相場は、ハリケーンからの復旧状況を睨みながらの推移になるであろう。原油に関しては、生産が停止する一方で精製も停止していることや先進国の備蓄放出、ＯＰＥＣの生産増加などを考慮すれば、必ずしも需給が逼迫しているわけではない。一方、製油所の被害が大きいため、ガソリンや灯油など石油製品の供給力が不足しており、原油に比べ、ガソリンが高止まりするようになっている。足元では、製品価格上昇による需要抑制が、原油相場の下押し要因として注目されてきており、目先は、相場は軟調が続くと思われる。

２．トピック～リビアの油田開発について

リビアは石油資源の外資への開放を進めており、2003年の国連による経済制裁解除と前後して、従来からリビアと結びつきの強い欧州企業が活動を活発化させてきた。これにより、2004年にかけて原油生産能力は13万バレル程度しており、今後も2007年にかけて10～20万バレル程度の増加が見込まれている。

さらに、2005年1月には、米国企業も参加して、鉱区の公開入札（第１次）が行われた。この鉱区には、既存の油田・ガス田は含まれておらず、探鉱リスクが存在しているものの、近隣に大油田が存在することなどからポテンシャルの高さを評価して、非常に好調な入札結果であった。また、10月2日には、より大規模な第2次入札が行われ、日本企業も落札している。

リビア政府は、現在は日量165万バレルの生産量を2010年の終わりまでに300万バレルにまで引き上げるため、今後300億ドルの投資を呼び込む計画であるという。リビアについては、何よりも着実に国際社会に復帰をしてきているという意義が大きいが、足元のリビアの油田入札の結果が生産力になるのは2010年以降になってくるとみられ、当面の需給バランスには影響はない。

原油レポート No.65 リビアの油田開発について

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