１．原油市況～ 59～62ドルを中心としたボックス圏の推移

原油価格（ＷＴＩ期近物、終値）は、ハリケーン「ウィルマ」への懸念が後退した10月下旬以降は、1バレル＝59～62ドルを中心としたレンジ内の動きが続いている。

気温低下による需要増などの思惑から10月25日には62ドル台に上昇したが、26日に発表された米国の週間在庫統計では、暖房油など中間留分の在庫が増加していることが示されたため、再び60ドル台に下落した。11月2日発表の週間在庫統計でも、原油在庫は増加し、ガソリンや暖房油の在庫も増加したことが確認された。ガソリンや暖房油の価格下落が需要を喚起するとの見方から11月3日の原油相場は61ドル台に上昇したが、その後は、暖房油の需要地である米国北東部の気温が平年を上回っていることなどを材料に下落し、7日は59.47ドルと再び60ドル割れとなった。

原油相場は気温情報などを材料に変動しつつも、ボックス圏にとどまっている。冬場の需要期における需給逼迫懸念は依然根強いとみられ、平年並みの気温で推移すれば、相場が下げる余地が残っているとみられる。

２．トピック～原油価格の上昇と家計負担

原油価格の上昇は家計にどのような影響を及ぼすのであろうか。ここでは、原油市況と関連の深い電気、ガス、灯油、ガソリンの価格動向について考察してみる。

これらの商品は、原油や天然ガスの価格に連動して値段が決まるが、商品ごとに少しずつ値段の決まり方が異なる。ガソリンや灯油の場合は、石油精製会社（元売）のコストの変動を毎月の卸値（仕切り価格）に反映させることが出来るため、原油価格の上昇が比較的短い時間差で小売価格に影響してくる。一方、電力やガスでは、電力会社やガス会社が、原油やＬＮＧ（液化天然ガス）の輸入価格に基づいて、料金を調整する仕組みがある。

足元までに判明しているエネルギー価格の上昇は、家計にどの程度の負担増になるかを試算すると、2004年と比べて年間26,346円の負担増になる。内訳を見ると、電気代5,964円、ガス代4,704円、灯油代5,181円、ガソリン代10,497円となる。

原油レポート No.67 原油価格の上昇と家計負担

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