コモディティ・レポート (2014年7・8月)

2014/09/05 芥田 知至
コモディティレポート

I.コモディティ市況全般: 7~8月は下落傾向で推移

ドル建て国際商品市況全般の動向を示すロイター・ジェフリーズCRB指数は、6月下旬にかけて上昇していたが、その後は下落傾向となった。マクロ経済環境に強弱の材料が入り混じる中で、原油や銅や穀物は、それぞれ個別に需要減要因や供給増要因が意識され、相場の押し下げ材料に反応しやすくなっている。世界景気は緩やかな拡大を続けるものの、目先のコモディティ市況は横ばい圏の推移が見込まれる。

II.エネルギー市況: 下落傾向で推移

ブレント原油は、6月にイラク情勢の緊迫化を受けて上昇したものの、その後は、下落傾向で推移した。地政学的リスク要因が原油相場を押し上げる圧力は弱まる中で、欧州を中心とした景気の下振れ懸念により、原油需要の鈍化観測が生じている。原油相場は、やや下落しやすい環境になってきている。

III.ベースメタル市況: 7,000ドルを中心に一進一退

銅市況は、7,000ドルを中心に一進一退で推移している。マクロ経済環境は強弱の材料が入り混じる中で、銅は鉱山からの銅鉱石の供給増が意識されやすく、やや弱い材料に反応しやすくなっている。先行きは、世界景気の緩やかな拡大が見込まれる中で、銅市況は一進一退が続くとみられる。

IV.貴金属市況:金は1,200ドル台後半に下落

金市況は、7月中旬には1,340ドルに迫ったものの、その後は、下落傾向で推移し、8月下旬は1,280~1,290ドルを中心に推移した。今後も、地政学要因や各国の景気・金融政策の動向を材料に変動が見込まれるが、為替市場でのドル高などを材料に、金市況は上値の重い展開が見込まれる。

V.トピック

米国のガソリン需要・・・米国では、14年の春頃に、ガソリン需給のひっ迫懸念が強まる時期があった。しかし、ドライブ・シーズン中に、ガソリン需要の盛り上がりは見られなかった。米国経済が拡大を続け、雇用増加数が堅調な状況でも、石油需要はそれほど伸びないような構造変化が明らかになってきている。

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