１．原油市況～米北東部の寒波を警戒し反発

原油相場（ＷＴＩ、期近物、終値）は、12月2日に59.32ドルにまで上昇した。米国北東部に寒冷前線が接近していることが相場の押し上げ要因となった。なお、11月30日に発表された米国週間在庫統計は、(1)原油在庫が前週比420万バレル減少したが在庫水準は依然例年に比べ高いこと、(2)需要期に入り逼迫が懸念されている暖房油など中間留分の在庫は340万バレル増加したこと、などから、石油製品の供給は十分に行われていることを示す内容であった。ハリケーンに被災した石油施設の復旧が進むことにより、当面、供給の回復が続くであろうが、冬場の間は気温による需要の変動が大きく、気象情報に左右される展開が続くであろう。

なお、12月12日にＯＰＥＣ総会が開催される予定であり、ＯＰＥＣ各国の石油相の発言をみると、この総会では減産が見送られる公算が大きい。冬場の需要は天候要因によって大きく左右されるため、需給逼迫に対する懸念は残るとみられるが、平年並みの気温で推移すれば、相場が下げる余地が残っているであろう。

２．トピック～割高化する暖房油・天然ガスと原油価格

米国北東部に寒冷前線が接近してきており、原油をはじめとしたエネルギー価格が上昇する材料になっている。

暖房油や天然ガスの価格を熱量換算や容量換算により、ＷＴＩ原油と比較してみると、8月末にハリケーン「カトリーナ」に米国メキシコ湾岸の石油・天然ガス施設が被災して以降、原油価格に比べ、高止まりしているのが分かる。足元では、気象情報を受けて、割高な度合いがさらに増している。また、今季の場合は、ハリケーンによる影響が残っている点には注意を要する。特に、生産原油と代替性のある天然ガス価格の高騰は、原油の価格を押し上げる要因にもなりうる。

しかし、気温低下によって上昇した暖房油や原油の価格は、気温の上昇とともにもとの値段に戻るのが普通である。最近では、1996年、2001年、2003年が比較的寒い冬であったが、気温低下による価格上昇は長続きしないことが確認できる。天候要因で原油価格が上昇しても一時的であり、その後は、メキシコ湾岸の石油・天然ガス施設の復旧もあって、価格は低下すると見込まれる。

原油レポート No.69 割高化する暖房油・天然ガスと原油価格

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ