１．原油市況～再びナイジェリアで武装勢力が蜂起

原油相場は、下げ止まりの動きが出ている。ナイジェリアの内紛やイランの核問題を材料に、原油価格（ＷＴＩ、終値）は上昇を続けていたが、1月31日に両問題とも、ひとまず収束へ向かったため、それ以降は下落を続けていた。また、米国週次統計で、原油在庫や石油製品在庫（ガソリン、暖房油、ディーゼル油など）が増加傾向にあることも、需給緩和要因として受け止められ、相場の下落要因になっていた。

しかし、2月17日には、ナイジェリアの武装勢力が石油施設への攻撃再開を宣言したことを受けて、原油価格は上昇し、前日比1.42ドル高の59.88ドルとなった。ナイジェリアでは日量45.5万バレルの生産が停止されている。

２．トピック～米国の石油輸入について

米国は、自らも世界第３位の大産油国であるが、世界最大の石油消費国であり、国内の石油需要の３分の２を輸入に依存する世界最大の石油輸入国でもある。

米国は年間49億バレルを輸入している。石油輸入相手国の第1位はカナダ、第2位はメキシコと、北米地域の国が上位を占める。3位は最大の産油国サウジアラビアである。そして、北米に次いで地理的に近く、従来米企業とのつながりが深かったベネズエラは第4位、上質の軽質油を産出するナイジェリアは第5位の輸入相手国である。

1980年以降、国交の断絶しているイランからの輸入はないものの、チャベス現政権との関係が悪化しているベネズエラや武装勢力が石油施設への攻撃を再開したナイジェリアからの輸入は、それぞれ米国全体の輸入量の10％以上を占めている。

なお、足元の米国の石油輸入の中身をみると、先進国からの石油製品の輸入が増えている。これらはハリケーン被災により製油所の稼動が停止したことに対応するための一時的な動きと考えられるが、足元で、ガソリンをはじめとした石油製品の需給緩和要因になっている。実際、ガソリン価格は、一時、原油価格を下回るという異例の事態に陥っている。

原油レポート No.74 米国の石油輸入について

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