１．原油市況～供給懸念を背景に反転上昇

原油相場（WTI、期近物、終値）は、2月15日の1バレル＝57.65ドルをボトムに上昇に転じており、3月3日は63.67ドルで終わっている。1日発表された米国週間石油統計では、原油在庫が前週比＋160万バレルと大幅増となり、ガソリン在庫も増加した。しかし、ナイジェリアの原油生産は50万バレル弱が停止された状態が続いており、事態の沈静化には時間がかかるとの見方が出ている。また、イランの核開発問題では、4日にイランはロシアとの協議で合意が成立したと報道されたが、その後のＥＵとの交渉は不調に終わっており、抜本的な解決の糸口はみえていない。石油施設への実害はなかったものの、サウジアラビアでの自爆テロとの報道を受け、原油価格が上昇する局面もあった。

２．トピック～非鉄市場と原油市場の比較

世界景気と非鉄金属および原油の消費量との連動性はかなり高い。もっとも、世界景気（＝世界経済成長率）の変動に比べて、非鉄金属や原油の消費量増加率の変動の方が大きい（変動率の標準偏差を基に比較すると、世界景気：原油：銅：アルミニウム：ニッケル＝１：1.9：3.7：4.7：5.8）。

また、世界景気と非鉄金属・原油の価格も連動している。価格は需要要因だけではなく供給要因も影響してくるが、非鉄や原油の供給は、探鉱から始まり供給設備を新設するには長い年月がかかる。このため、短期的には需要要因で需給が変動することが多く、景気と連動している。

2001～2005年の間に、亜鉛、銅、ニッケルは消費量が15％以上増加し、アルミニウムは30％以上も増加している。原油の消費量は9％台の伸びであった。非鉄金属では、中国の需要増加が大幅であったのに対し、原油は中国需要の寄与は比較的小さくなっている。各品目における中国の消費シェアは、銅（21.6％）、アルミニウム(22.5％)、亜鉛（28.6％）、ニッケル(15.2％)と世界第１位になっているが、原油ではまだ世界シェアの8％を占めるに過ぎない。

原油レポート No.75 非鉄市場と原油市場の比較

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ