１．原油市況～ボックス圏ながら上昇

原油相場（WTI、期近物、終値）は、3月24日に1バレル＝64.26ドルにまで上昇した。23日発表された米国週間石油統計では、原油在庫が前週比130万バレル減少し、製品在庫も、ガソリンが230万バレル、中間留分が80万バレルそれぞれ減少し、需給のタイト化を示す材料と受け止められた。また、寒波が米北東部に接近していることも暖房向け需要の増加要因として材料視された。

原油相場は、イラン核開発問題やナイジェリア情勢への懸念から1月終わりには60ドル台後半で推移した後、2月以降は、イランの原油輸出停止観測の後退、米金利上昇観測に伴う投機資金引き上げに対する懸念、原油・石油製品在庫の増加などが、相場の頭を抑える材料になっていた。しかし、米金利の上昇はすでに市場に織り込まれ、原油や石油製品の在庫はここにきて減少に転じる動きになってきている。相場は、以前60ドル台前半にとどまっているが、やや上値を窺う動きが強まっている。

２．トピック～規格変更がガソリン価格の押し上げ要因か

米国ではガソリンの小売価格が上昇してきている。(1)冬場が終わり、ドライブ需要が増加に転じる季節になってきたこと、(2)石油企業の多くがガソリンの規格を変更しようとしていることに伴う供給懸念、(3)景気の拡大基調が続いており、ガソリン需要が増加傾向にあること、があるとされるが、今回は、特に(2)のガソリン規格の問題について、考えてみたい。

今後、米国内では、MTBEからエタノールへの転換が進むと考えられる。しかし、エタノールの利用体制の整備や物流に不安がないとはいえないとされる。エタノールの供給に不安があると、思惑的な在庫積み増しなど改質ガソリンを手当てしておこうとする業者が増えるため、価格にプレミアムがつく可能性がある。

しかし、改質ガソリンと通常ガソリンの価格差などから判断すると、足元のガソリン価格の上昇の背景には、ガソリン規格の変更による供給懸念よりも、通常の季節パターンと拡大を続ける米国経済があるとみた方が良いと思われる。

原油レポート No.76 規格変更がガソリン価格の押し上げ要因か

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ