１．原油市況～史上最高値を更新

原油相場（ＷＴＩ、期近物、終値）は、過去最高値を更新後、高止まりしている。4月17日にイラン大統領が原子力発電用に十分な量のウラン濃縮に成功したと発表したため、対イラン制裁懸念が高まり、昨年8月につけたそれまでの高値を上回った。また、19日に発表された米国週間石油統計で、ガソリン在庫が大幅に減少したことも材料視された。21日には、史上最高値の75.17ドルを記録した。原油価格が騰勢を強めている材料として、イランやナイジェリアを中心とした原油の供給懸念、米国のガソリンの規格変更に伴うガソリン不足懸念、世界経済拡大に伴う需要増加観測が挙げられる。

足元の原油需給は緩和気味であるが、一方で多様な供給リスクが懸念されている。米国を中心とした世界景気の拡大やガソリン需要の増加が、原油相場の押し上げ材料となり易い状況が続くであろう。

２．トピック～ガソリン主導の原油高

ガソリンの在庫が減少している背景には供給要因と需要要因がある。供給面については、依然昨年のハリケーンの影響で稼動できていない製油所があることや、改質ガソリンの規格が変更されることに伴い製油所のメンテナンスが平年よりも大きな規模になっていることなどで、製油所の稼働率が低く、ガソリンの生産が停滞している。

需要を決める要因としては、季節要因と景気要因が大きい。ガソリンの需要は、個人のドライブ需要が増える夏場にかけて盛り上がる。また、米景気の拡大基調が続いていることが、自動車の保有台数を伸ばし、旅行需要を高める要因である。現在の景気情勢からすると、今年のガソリン需要が昨年よりも増加するであろう。

ＮＹの先物市場では、2月には、ガソリン価格が原油価格以下に落ち込むということもあったが、最近は、通常の精製マージン（＝ガソリン価格－原油価格）が取れるレベルに回復してきている。ガソリン価格の上昇が原油相場を押し上げやすくなっている。

原油レポート No.78 ガソリン主導の原油高

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