１．原油市況～下値切り上げ

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、4月21日にザラ場で付けた1バレル＝75.35ドル（24日にも記録）をピークに5月中旬には68ドル台にまで下落したが、5月下旬以降は、徐々に下値を切り上げ、6月6日の終値は72.50ドルとなった。

米国製油所の稼働率が上昇していることやガソリン在庫の増加を受けてガソリン供給懸念は和らいでいるものの、イランやナイジェリアからの原油供給に対する懸念が根強く、また金属なども含めた商品市況の調整一巡感もあって、原油相場は緩やかに上昇している。米国を中心とした世界景気の拡大やガソリン需要の増加が、原油相場の押し上げ材料となり易い状況が続くであろう。

２．トピック～原油価格と他の商品価格との連動性

原油価格と他の商品価格との連動は、最近1～3年に強まっているようである。

まず、暖房油やガソリンなど原油から精製される商品と原油はかなり高い連動性があり、原油と代替性のある天然ガスについても原油と連動することが多い。原油とエネルギー関連商品とは、従来通り、連動する関係が続いているといえる。

一方、原油とエネルギー以外の品目との連動性は、最近になって強まってきている2003年頃までは、金、銅、大豆といった非エネルギー商品と原油とは、連動することもあれば、逆連動することもあり、総じていえば、あまり関係がない状態であった。2004年頃以降は、連動する期間が増えており、連動する程度も強まっている。

原油価格と非エネルギー商品の価格の連動性が強まっている背景には、米国や新興国を中心とした世界景気拡大による需要増加観測が各商品に共通した価格押し上げ要因になったことが考えられる。加えて、商品指数連動型のファンドを経由して商品相場に流入する資金が増えていることも要因として考えられる。

投資資金の流入は、商品相場と主要国の金融市場との関係が強まっている可能性を示唆している。

原油レポート No.81 原油価格と他の商品価格との連動性

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