１．原油市況～高値圏での推移が続く

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、イスラエルのレバノン侵攻により供給懸念が強まった7月14日につけた78.40ドルが当面のピークになっている（14日の終値は77.03ドル）。レバノンの情勢が改善しているわけではないが、今のところ他の中東諸国を巻き込むような動きにはなっていないため、この件での供給懸念は和らいで、原油相場はほぼ侵攻前の水準に戻っている。

しかし、ナイジェリアでは、武装勢力の攻撃等による生産障害は拡大している。また、米国週間石油統計はガソリン需要の堅調を示す内容であった。さらに発生した熱帯性暴風雨がメキシコ湾岸に接近することが懸念され8月2日には75.81ドルまで上昇したが、その後、熱帯性暴風雨は勢力を落とした。8月4日の原油相場は74.76ドルであった。

２．トピック～乱高下する天然ガス相場の状況

天然ガス相場は、昨年後半にはハリケーン「カトリーナ」と「リタ」の被害により、大規模な生産障害が発生したのを受けて急騰した。しかし、2006年に入ると、昨シーズンの冬場が暖冬であったため、需給が緩んで、天然ガス価格は低迷した。現在も天然ガスの在庫は高水準にある。

7月末にかけて、猛暑による電力向け需要の増加と、熱帯性暴風雨の発生で、天然ガスは急騰したが、その熱帯性暴風雨が勢力を弱めると価格は落ち着き始めている。再び、天然ガス価格は低迷するのであろうか。

エネルギー価格の長期推移をみると、天然ガスの価格は、原油に対して徐々に切りあがってきている。先行きについても、クリーンエネルギーとして天然ガスの価値が高まっていることや、今後、割高なＬＮＧ（液化天然ガス）輸入が本格化することから、原油に対する相対価格の上昇が緩やかに進むのではないか。

原油レポート No.85 乱高下する天然ガス相場の状況

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