１．原油市況～緩やかに下落し70ドル割れ

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、イスラエルのレバノン侵攻により供給懸念が強まった7月14日につけた78.40ドルが当面のピークになっている（14日の終値は77.03ドル）。8月14日には、イスラエルとレバノン政府が国連安全保障理事会の停戦決議を受諾し、レバノン情勢による供給懸念は和らいだ。加えて、米景気減速観測の強まりなどを背景に、原油相場は上値の重い展開になり、一時70ドル割れとなった。

8月22日に6ヶ国からの包括提案に対してイランが用意した回答は、提案を受け入れるものではなかったことや、熱帯性低気圧が米国メキシコ湾岸へ向かう可能性が生じたことから8月25日の原油相場（ＷＴＩ、期近物、終値）は72.51ドルに戻した。しかし、その熱帯性低気圧は、熱帯性暴風雨「アーネスト」に発達したものの、進路はメキシコ湾岸から外れたため、29日の終値は再び70ドルを割れた。その後も、相場はやや軟調に推移し、1日の終値は69.19ドルであった。

２．トピック～ＬＰガス（液化石油ガス）価格の動向について

原油に比べ価格上昇が緩やかであったＬＰガス（液化石油ガス、以下ＬＰＧ）の動向をみていきたい。日本ではＬＰＧは、家庭用のガス（いわゆるプロパン・ガス）やタクシーの燃料としての用途が中心である。

ＬＰＧは、製油所で原油を処理する過程で生じるほか、油田から原油を生産する際の随伴ガスとしても生産される。つまり、ガソリンやディーゼル油の需要を満たすために、原油の生産や精製が行われると付随的にＬＰＧが生産される。ＬＰＧへの需要がそれほど強くなければ、ＬＰＧの需給は緩みやすくなる素地があるといえる。

しかし、ＬＰＧの割安感が今後さらに強まっていくかというと必ずしもそうではないであろう。一部の石油化学プラントでは、ＬＰＧの主成分であるプロパンをナフサに代替する原料として使用する動きが出ているからである。当面、ＬＰＧはナフサとの代替関係などを通じて、他の石油製品との価格の連動性を強めるのではないか。

原油レポート No.87 ＬＰガス（液化石油ガス）価格の動向について

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ