１．原油市況～徐々に下げ止まり

原油相場（ＷＴＩ、期近物）には下げ止まりの動きがみられる。10月上旬は、世界景気の減速観測や石油在庫の増加を材料に下げ相場が続き、協調減産についてＯＰＥＣ加盟国の足並みが揃わないという観測が強まった11日の終値は、1バレル＝57.59ドルにまで下落した。しかし、その後は、米景気指標が底堅さを示したこと、ＯＰＥＣが協調減産を行うとの見方が強まっていること、ニューヨーク州北部で大雪が降り、しばらく平年よりも低い気温が続くと予想されていることなどを材料に、相場は下げ止まってきている。17日の終値は、58.93ドルであった。

２．トピック～ＯＰＥＣの減産と原油相場について

ＯＰＥＣの協調減産は、原油相場の下支えにある程度の効果がある。ＯＰＥＣが生産枠を引き下げるのに伴って徐々に原油需給が引き締まり、原油在庫が抑制される頃のタイミングで原油価格の下落に歯止めがかかるというのが、典型的なパターンである。

1998～1999年にかけての減産では、数ヶ月のタイムラグで石油在庫の抑制につながり、原油相場の反転に寄与した。2001～2002年にかけての減産では、先進国の景気後退などにより原油需要が低迷したため、減産後も需給が緩和し石油在庫が増える局面が続いたが、1年弱のタイムラグで石油在庫の抑制につながり、原油相場も反転した。2003～2004年の減産時には、実際の生産量は増加気味に推移したが、中国や米国の原油需要の増加を受けて、価格は上昇傾向で推移した。このようにＯＰＥＣの減産が、原油価格の支持に有効かどうかは、需要面の動向にも左右される。

現局面をみると、原油生産が横ばい圏で推移する中、緩やかな需要の増加が続いたことを受けて石油在庫の増勢が一服してきている。つまり、現在は原油需給の緩和に徐々に歯止めがかかってきている状況と思われる。こうしたタイミングで、ＯＰＥＣが減産を行えば、比較的早い時期に原油価格の反転を促す可能性があろう。

原油レポート No.90 ＯＰＥＣの減産と原油相場について

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