１．原油市況～50ドル台後半を中心とした推移

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は1バレル＝50ドル台後半を中心に推移している。サウジアラビアがＯＰＥＣの減産を支持する意向を表明した19日には前日比0.85ドル上昇して58.50ドルで引けたものの、実際にＯＰＥＣが協調減産を発表した10月20日には、減産はかなり織り込まれていたことや、減産の実効性に対する疑念もあって、一時56.55ドルまで下落した。

その後、気温低下などを材料に相場は緩やかに戻し、25日に発表された米国週次統計では、原油在庫が大幅に減少したことが示されたため、61ドル台に乗せた。しかし、在庫減少は、メキシコ湾の輸入ターミナルが悪天候のため操業を71時間停止した影響が大きく、その反動で次週の在庫は大幅に増加するとの見方が強まった。その後、27日に発表された米国ＧＤＰ統計が弱めであったことや、中国の統計が需要の弱さを示すものであったことに加えて投機資金の流出観測などから、30日には前日比2.39ドル安の58.36ドルで引けた。

２．トピック～中国の石油需要と原油輸入について

中国の石油需要は、5～8月に前年比8～12％増の高めの伸びを示した後、9月に前年比5.0%増と鈍化した。足元における石油需要の鈍化は、生産活動が鈍化しているためとみられる。中国はエネルギー源の約７割を石炭に依存しており、石油の用途は、産業向けや輸送燃料向けが中心である。このため、暖房需要が強まる冬場でも、それほど石油需要が強まるわけではない。世界景気の減速が続き、政府の引き締め策が継続されれば、当面、石油需要は抑制された状態が続く可能性がある。

しかし、原油精製量が減少している中で、原油の輸入量は増加している。これは、価格動向をみながら、在庫の積み増しが行われているためとみられる。2004年以降について、原油相場と中国の輸入量の関係をみると、原油相場が下落に向かった局面では、中国の輸入が増える傾向が確認できる。つまり石油需要が鈍化しても、世界の原油輸入の7％程度を占める中国の原油輸入は必ずしも抑制されない可能性がある。

原油レポート No.91 中国の石油需要と原油輸入について

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