１．原油市況～下落後、持ち直し

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、11月中旬に下落した後、下旬にかけて持ち直している。最近の相場の材料を振り返ると、ＯＰＥＣの産油量は11月以降に増えたとする民間調査会社のレポートなどによりＯＰＥＣの減産の実効性への疑念が強まったことや、暖房油需要の中心である米北東部の気温が平年を上回っていることを材料に、17日には一時55ドル割れとなった。もっとも、その後は、悪天候によりアラスカの油田からの供給が一時的に制限されたことや、北海油田の一部がガス漏れの影響で操業を停止したこと、ナイジェリアでは武装勢力の攻撃で新たな生産障害が生じたこと、大規模なテロが発声したイラク情勢への懸念が強まったこと、などを背景に原油相場は60ドル台を回復している。また、それまで平年よりも温暖に推移してきた米北東部の気温が12月初旬にかけて低下するとの予報が出されたこともあり、27日の終値は60.99ドルであった。

２．トピック～米国のエタノール事情

米国でエタノールの生産が増加している。これに伴って、米国で生産されるトウモロコシの20％以上が米国内での燃料用エタノール生産に向けられている。

自動車燃料として、ガソリン（原油）とエタノール（サトウキビ）が代替関係にあることを受けて、これまでガソリン（原油）相場と砂糖相場は連動性を強めていた。トウモロコシについては、これまで砂糖ほどガソリン（原油）相場との連動性が強くなかったが、この背景には、農家があらかじめ燃料用エタノールの生産を考慮に入れて、トウモロコシの生産量を調整する動きがあったからだと思われる。しかし、エタノール生産には、農家だけではなく、エタノールの生産を専業とするベンチャー企業の参入も増えている。今後、専業の業者が増え、トウモロコシのエタノール向け需要が、農家の思惑とは別に動くようになると、トウモロコシ相場とガソリン（原油）相場との連動性が強まる可能性がある。

原油レポート No.93 米国のエタノール事情

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