１．原油市況～天候要因で上下するもほぼ横ばい圏

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、11月中旬に下落した後、12月初めにかけて持ち直し、その後は1バレル＝61～63ドルを中心に推移している。12月初旬にかけて今年はじめての本格的な寒波が米北東部を覆い、気温が低下するとの見方から暖房需要の増加観測が強まったことや、サウジアラビア石油相の追加的な減産の可能性を示唆する発言を行ったことを受けて、12月1日の終値は63.43ドルになった。その後は、米北東部の気温が平年よりも高くなるとの予報に転じてきたため、上値が重くなり、12日の終値は61.02ドルまで下落した。

当面、原油相場は横ばい圏で推移すると予想されるが、冬場が終わり、世界景気の再加速が予想される来年半ば頃にかけて、原油相場は、上昇基調に転じるであろう。

２．トピック～原油相場の中期見通し

原油価格の上昇率は累計すると第二次石油危機の時と同程度であるが、各国の消費物価の上がり方は非常に緩やかにとどまっている。このため、世界経済の拡大が持続し、大幅に販売価格を引き上げることなく、世界の企業は売上を伸ばすことにより、利益をあげることができている。中国経済は、一次産品高の原因であると同時に、安い製品を提供することによって世界の消費者の購買力保つのに貢献している。中国の高度成長が続く間は、一次産品価格の高止まり、最終製品価格の安定、世界経済の拡大が鼎立する状況が続きやすいと考えられる。

2007年に入って世界景気が再加速すると、原油需要の増加観測が強まり、原油価格は再び上昇に転じると予想される。ただし、新規油田の開発など供給の増やす動きが徐々に広がっているため、上昇ペースはこれまでよりも緩やかになるであろう。その後も、原油価格の上昇基調は続き、2010年度の原油価格は、平均で1バレル＝83ドルにまで上昇する可能性があるだろう。

原油レポート No.94 原油相場の中期見通し

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ