１．原油市況～横ばい圏の推移が続く

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、11月中旬に下落した後、12月初めにかけて持ち直し、その後は1バレル＝61～63ドルを中心とした推移になった。12月14日には、ＯＰＥＣが50万バレルの追加減産（2月1日から）を決定したことが、価格下支え要因になったとみられる。また、20日に発表された米週間石油統計において、原油在庫が大幅に減少していたことも材料視された。さらにナイジェリアで石油施設へのテロ攻撃による被害が広がったことや、23日に対イランの制裁措置が採択されたことが影響して、地政学リスクへの警戒感も根強い。

一方で、米国の気温が平年よりも高めに推移しており、暖房需要が抑制されることが需給緩和要因として意識されている。27日も温暖な天候が続くとの気象情報を材料に、相場は1バレル＝60.34ドルまで下落した。

２．トピック～2007年の原油相場見通し

原油相場を取り巻く環境をみると、まず、原油高によるコスト増は企業部門で吸収され、各国の消費者物価は安定しているため、原油高が世界のインフレを加速させて世界経済の拡大を阻害する要因にはなっていない。一方で、世界の原油需要が増加していること、原油供給力の伸びが緩やかなこと、地政学リスクへの懸念が続いていることを背景として、将来の需給逼迫に対する懸念が強まりやすい状況にある。

2007年半ばにかけて世界景気が再加速すると、原油需要の増加観測が強まり、原油価格は再び上昇に転じてくると予想される。特に中国は、米国に次ぐ世界第二位の原油需要国になっており、自動車の普及などによって、その需要はさらに拡大が見込まれる。供給サイドでは、産油国の供給力は緩やかな増加が見込まれるものの、ＯＰＥＣの生産余力は低水準にとどまり、地政学リスクや事故などに対して供給懸念が強まり易い状態が続くと考えられる。ただし、カスピ海地域やカナダからの供給増加が続き、ブラジルやアフリカでの新規油田の開発など供給を増やす動きが徐々に出てきているため、これまでよりも原油価格の上昇は緩やかなになってくるであろう。

原油レポート No.95 2007年の原油相場見通し

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