１．原油市況～大幅下落

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は１月に入り大幅に下落した。暖房需要の中心地である米国北東部の気温が平年よりも大幅に高いことが需要減退観測につながったことが大きい。16日の原油相場は、サウジアラビアが追加減産に消極的であるとして、1バレル＝51.21ドルに下げた。

世界景気の減速や暖冬により原油需要が鈍化するとの観測が続き、投機資金の売りも材料視されて、原油相場は大幅に下落した。ＯＰＥＣは2度に渡り減産を決定したものの、その実効性への懐疑的な見方が出ており、相場の下落に歯止めがかかっていない。もっとも暖冬が終わり、世界景気の再加速が予想される今年半ば頃にかけて、原油相場は上昇基調に転じてくるものと予想される。

２．トピック～日米欧の石油在庫の推移

石油在庫の動向をみるうえで注目すべき第1のポイントは、景気との連動性である。先進国の景気動向を表わすＯＥＣＤ生産指数と日米欧の石油在庫を比べると、生産指数が増加すると、石油在庫が減少するという関係がある。景気の拡大テンポが速まると、石油需要が増加して石油在庫が減少することが窺える。足元では、先行きに対する懸念は出てきているかもしれないが、これまでのところ景気は底堅く推移しており、景気面からは石油在庫を減少させる力が加わっていると考えられる。

2004年頃から生産の増加に比べて、石油在庫がやや高止まりする傾向が現れていることも注目される。産油国からの原油供給が増えていることが、石油在庫増加の直接的な原因と考えられるが、その間、原油価格が上昇を続けており、在庫の増加が需給の緩和を意味していた訳ではない。つまり、地政学リスクなど供給不安の高まりに対する備える動きや、原油価格の上昇傾向が続いたため在庫を保有するインセンティブが強まったことがあり、在庫を積み増すための需要があったと考えられる。

なお、過去の例をみると、ＯＰＥＣの減産を受けて、日米欧の石油在庫が減少し、原油価格は下げ止まるには、数ヶ月のタイムラグがある。

原油レポート No.96 日米欧の石油在庫の推移

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