１．原油市況～期近物は大幅下落後、大幅上昇

原油相場（ＷＴＩ、期近物、終値）は、3月19日に56.59ドルまで下落したが、26日には62．91ドルまで上昇した。このように期近物の相場変動が大幅になった背景には、製油所のメンテナンスが例年より大規模なため足元の原油需要が弱含んでいることや、逆に、製油所のメンテナンスが一巡した後に原油需要が増加することが見込まれたことが影響している。

また、中旬には、(1)予想通りとはいえ、ＯＰＥＣ総会で追加減産が見送られたこと、(2)イラン大統領が国連安全保障理事会での演説を望んでいると報道され、対イラン制裁決議が遅れるとの観測が出たことが相場の下押し材料とされた。一方、下旬の相場押し上げ材料としては、(1)夏場にかけてのガソリン需要の増加や、(2)対イラン制裁決議を受けて地政学リスクへの懸念が強まったことも挙げられる。

原油需給の実勢は、期先物の相場にみられるように、各国の景気情勢と同様に、それほど変化していないとみられる。もっとも、ガソリン需給の逼迫やイラン核開発問題への懸念は強まっているとみられる。年後半にかけて世界景気が力強さを増してくるみられる中、原油相場は徐々に下値を切り上げる可能性がある。

２．トピック～乱高下するＷＴＩ原油と原油相場の行方

3月中旬までの原油相場の下落局面では、(1)ＷＴＩ安（欧州・アジアの原油相場は堅調）、(2)原油安・ガソリン高、(3)4月物安、という特徴があった。ガソリンの需要が堅調なものの、製油所のメンテナンスが平年よりも多めに行われており、足元の原油需要は弱いため、特に2007年4月物のＷＴＩ原油が大幅に値下がりした。

2006年後半以降、「ＷＴＩ－ブレント」や「ＷＴＩ－ドバイ」の価格差は縮小しており、米国景気減速などを背景にＷＴＩ安の状況にあるとみられる。米国の景気は、2006年前半までに比べ力強さを欠いた状態が続いているが、今後、住宅市場の調整一巡などにより、徐々に底堅さを増してくると予想される。ＷＴＩ安の状況は、ＷＴＩが上昇する形で修正される可能性がある。

原油レポート No.100 乱高下するＷＴＩ原油と原油相場の行方

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