１．原油市況～イランの英兵開放で下落

原油相場（ＷＴＩ、期近物、終値）は、地政学リスクへの思惑から乱高下した。3月23日にイランによる英兵拘束が報道されて以降、相場は上昇し、27日には一時1バレル＝68ドルの高値をつけた。その後も、英米とイランとの対立が深刻化することへの警戒感が強く、64～66ドルを中心とした推移が続いたが、4月5日にイランは拘束していた英兵15人を全員解放し、地政学リスクへの懸念は後退している。

なお、米国製油所の稼働率低迷により、先月に続きＷＴＩ期近物の価格が他の原油価格に比べ、安くなっているが、原油需給の実勢は、各国の景気情勢と同様に、それほど変化していないとみられる。一方で、ガソリン需給の逼迫やイラン核開発問題への懸念は続いている。年後半にかけて世界景気が力強さを増してくるとみられる中、原油相場は徐々に下値を切り上げる可能性がある。

２．トピック～トウモロコシ・エタノール・ガソリン・原油の市況動向

3月30日に米農務省より発表された農家の作付意向面積（Prospective Plantings）をみると、2007年のトウモロコシ作付面積は、前年比1213万エーカー増の9045万エーカーと予想を上回る大幅増になった。

農務省が農産物の需給調整策として行っている保全休耕プログラム（ＣＲＰ）に登録中の土地のうち、300万エーカーが同プログラムから外れ、主としてトウモロコシ耕作地に転換されるとの見込みが事前に述べられていたが、大豆からトウモロコシへ転換を図る農家が増えたことが予想以上の増加の背景にあったとみられる。トウモロコシの作付増加を受けて、トウモロコシ相場は一時の高値から下落している。

以上を総合すると、エタノールの供給には引き続き不透明感があり、製油所の事故などとともにガソリン（混合ガソリンを含む）の供給リスクを高めていると考えられる。このことが、ガソリンと原油の価格差を拡大させる一因にもなっているのではないか。

原油レポート No.101 トウモロコシ・エタノール・ガソリン・原油の市況動向

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