１．原油市況～高止まり

原油相場は、4月5日にイランが英兵を解放した後も、高止まりが続いている。もっとも、ＷＴＩ原油（期近物）の価格は、欧州の指標であるブレント原油やドバイ原油に比べて、相対的に弱い値動きが続いている。米国に比べて欧州や中国が、相対的に景気が好調であり、石油需要も堅調なことを反映している。原油相場の実勢は、ＷＴＩ原油の値動きでみるよりも強いと考えられる。

イランの英兵拘束問題や米国製油所の稼働率低迷によりかく乱され、原油相場の実勢はやや読みづらくなっていたが、原油相場の下値は徐々に切り上がってきている。ＯＰＥＣの減産により需給緩和に歯止めがかかり、ガソリン需給の逼迫やイラン核開発問題への懸念が続いていることが背景にある。年後半にかけて、米国景気の持ち直しとともに、需給が引き締まる可能性があり、原油相場は緩やかな上昇が続く可能性がある。

２．トピック～資源国・非資源国別に見た日本の貿易収支の動向

1970年代や1980年代に、原油をはじめとした資源価格が大幅に上昇したことによって、日本経済は大きな影響を受けた。一方、2000年代にも資源価格が大幅に上昇しているが、日本経済はそれほど深刻な影響は受けていない。こうした状況の違いは、日本の貿易収支の動向からもうかがえる。

1970～80年代の貿易収支は、原油など資源価格高騰の影響によって赤字に転落しが、2000年代の貿易収支は、ＧＤＰ比2％前後の黒字幅で安定している。1970～80年代の石油危機の際には、海外景気が低迷して輸出が伸びなくなったが、2000年代は資源価格高と世界景気の拡大が両立していることが、日本の貿易収支に現れている。特に、対資源国の貿易収支の平均水準が赤字縮小方向に大幅にシフトしている。相対的に、日本の産業機械や消費財に対する需要の伸びの方が、日本の資源需要の伸びよりも高いことが現れていると考えられる。

原油レポート No.102 資源国・非資源国別に見た日本の貿易収支の動向

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