１．原油市況～供給懸念により反騰

原油相場（期近物、終値）は、5月に入って小幅下落に転じていたが、21日には66.27ドルと再び66ドル台に上昇してきている。16日に発表された米国週次石油統計は、原油在庫やガソリン在庫の増加が示されたため、相場の下げ材料となったが、17日にかけて米製油所のトラブルが相次ぎ、ガソリン供給への懸念が強まった。また、治安が回復しないナイジェリアからの原油供給への不安も続いている。

当面の原油相場は、米国の製油所の稼動状況はなかなか改善しない一方で、ガソリン消費に減速の動きが出ており、原油相場は一進一退が考えられる。その後、年後半にかけて、米国景気の持ち直しとともに、需給が引き締まり、原油相場は緩やかに上昇する可能性がある。

２．トピック～米国・欧州・アジアの景気動向を反映する原油価格

ＷＴＩ原油の価格は、欧州の指標であるブレント原油やドバイ原油に比べて、相対的に弱い値動きが続いており、原油相場の実勢は、ＷＴＩ原油の値動きでみるよりも強いと考えられる。欧州のブレント原油は21日に70.49ドルをつけた。

ブレント高の背景には、北海油田の減退が進んでいることや欧州と関連の深いナイジェリアの生産が低迷していること、また、ドバイ高の背景にはサウジアラアを中心としたＯＰＥＣの減産が中東産の原油需給に影響を及ぼしていること、なども指摘できるが、もっとも影響が大きい要因は米国・欧州・アジアの景気動向であろう。

「ＷＴＩ－ブレントの価格差」は「米国－欧州の経済成長率格差」と、「ＷＴＩ－ドバイの価格差」は「米国－アジアの経済成長率格差」と、それぞれ連動性が高い。2007年後半にかけて、欧州経済が堅調を維持し、中国経済が高成長を続ける中、米国の景気が再加速すると見込まれる。ＷＴＩが割安な状況は徐々に解消するとみており、ブレントやドバイに比べて、ＷＴＩは上昇しやすいであろう。

原油レポート No.104 米国・欧州・アジアの景気動向を反映する原油価格

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