１．原油市況～再び66ドル台

原油相場（期近物、終値）は、4月以降、1バレル＝61～66ドル台を中心とした推移が続いており、6月4日は66.21ドルとこの数ヶ月の高値圏になっている。最近の相場の変動材料をみると、5月31日に発表された米国週次石油統計では、原油在庫が6週間ぶりに減少したことやガソリン在庫が低水準にとどまったことで、相場の押し上げ材料視された。イランと米国の対話をリスク緩和要因とする見方も一部に出ているが、治安が回復しないナイジェリア情勢への懸念は相場を支える要因となった。

米国ではガソリン需給逼迫観測が根強いが、当面、供給が増加すれば需給逼迫観測が和らぐ可能性があろう。もっとも、ＯＰＥＣの減産効果が出ていることや地政学リスクへの懸念が続いていることもあり、下値は限定的と考えられる。また今後、米国景気の改善とともに需給が引き締まり、年後半も原油相場は緩やかに上昇する可能性がある。

２．トピック～米国のガソリン高と原油相場

現状を整理すると、(1)米国の製油活動が低調なことによりガソリン高になっている、(2)欧州やアジアでは対米ガソリン輸出が急拡大しない程度に米国に連れたガソリン高が起こっている、(3)米国の製品純輸入は緩やかに拡大しており世界の製品需給をややタイトにしている、(4)米国の製油活動の低調さは米国内の原油需給を緩和させている、ということになろう。

今後、米国の製油活動が回復すると、(1)米国内ではガソリン需給の緩和によりガソリン安、(2)米国以外の国のガソリン高も緩和、(3)米国の石油製品の純輸入が抑制されることによりブレントやドバイなど他地域の原油安、(4)米国の原油需要が高まることによりＷＴＩ高の要因になるであろう。もっとも、(1)のガソリン安によるＷＴＩ価格押し下げと(4)によるＷＴＩ価格押し上げは相殺され、ＷＴＩ価格への影響はほとんどないのではないか。一方で、(2)、(3)により、ブレントやドバイの価格には、押し下げ圧力がかかる可能性がある。

原油レポート No.105 米国のガソリン高と原油相場

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