１．原油市況～金融市場動揺の影響により上下に変動

原油相場（期近物）は、8月1日に一時1バレル＝78.77ドルと最高値を更新した後は下落基調で推移し、22日の終値は69.26ドルと70ドル割れとなった。相場が下落基調をたどった背景には、サブプライムローン問題を発端にして株式相場が下落し、景気の先行き懸念が強まったことがある。また、8月22日に発表された米国週次石油統計で原油在庫が予想に反して増加したことや、メキシコ湾で発生したハリケーンが米国に上陸しなかったことも相場の売り材料視された。その後は、金融市場が落ち着きを取り戻す中、引き続きガソリン需給の逼迫を懸念する見方もあり、相場は値を戻し、27日の終値は71.97ドルであった。

目先は、ガソリン高の修正が続き、原油も連れ安する可能性があるが、サブプライムローン問題の影響により実体経済が腰折れする可能性は小さいとみられ、来年にかけて、米国景気の改善とともに需給の引き締まりが予想され、原油相場は緩やかに上昇する可能性がある。

２．トピック～ナフサ価格の急騰は一服

石油はガソリンや灯油などの燃料としての用途のほかに、石油化学工業の原材料としても使われる。日本の石油化学工業の原材料となるナフサは、今年の年央にかけて、原油以上に上昇した。原油とナフサについて、日本の輸入価格をみると、今年の2月をボトムに上昇に転じているが、6月までに原油は23％上昇したのに対し、ナフサは28％上昇している。

世界的なナフサ高の背景には、米国の製油所の稼動状況が悪かったことが影響していると考えられる。つまり、従来、アジアや欧州で化学原料のナフサとして使用されていた原油の一部がガソリン向けに転用されたことが、世界的にナフサの需給を引き締めたと考えられる。足元ではガソリンの需要期はピークを越えつつあり、ガソリンやナフサの割高感は解消してきている。しかし、米製油所の処理能力が伸び悩んでおり、来年の夏場にかけて再びガソリンやナフサの需給に逼迫感が生じる可能性があろう。

原油レポート No.110 ナフサ価格の急騰は一服

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