１．原油市況～史上最高値を更新

原油相場（期近物）は、8月下旬から騰勢を強め、再び史上最高値を更新している。9月12日の終値は1バレル＝79.91ドル、取引中には一時80.18ドルを記録した。米国の原油在庫の減少が続いていること、パイプライン漏れに伴い供給が懸念されたこと、パレスチナやイランを巡る地政学リスクやナイジェリアやイラクの生産障害が続いていること、などが相場の買い材料とされた。ＯＰＥＣ総会を前に増産が見送られるとの観測が強かったことも、買い安心感につながっていた。実際には、9月11日のＯＰＥＣ総会では増産が決定されたが、期近物を中心に相場の上昇が続いた。

ＯＰＥＣの増産は小幅であり、また11月からとされているため、当面、期近物が買われやすい地合いが続く可能性がある。一方で、ＯＰＥＣが冬場に追加増産を行う可能性があることや、サブプライムローン問題への懸念が続きそうなことが相場の抑制要因になろう。もっとも、サブプライムローン問題の影響により実体経済が腰折れする可能性は小さいとみられ、来年にかけて米国景気の改善とともに需給が引き締まり、原油相場は緩やかな上昇を続ける可能性がある。

２．トピック～ＯＰＥＣ増産でも、原油相場高止まりの背景

米国のサブプライムローン問題により金融市場の不安定な動きが続く中、景気の先行きに対する懸念がやや広がりをみせている。こうした状況下、需要の先行き不透明感を材料に、銅やアルミニウムなど非鉄金属市況も頭打ち傾向で推移してきている。しかし一方で、原油相場は高止まりし、再び最高値を更新してきている。

原油高止まりの背景には、(1)原油在庫が減少基調で推移していること、(2)これまでのＯＰＥＣ減産の効果が続いており増産の効果はまだ出ないこと、(3)投機筋の売り圧力が小さかったとみられることなどが挙げられる。

足元の非鉄金属相場は下落しており、過去をみると、金属の価格変動は原油の価格変動よりも早いタイミングで起こることがあるのは要注意だ。もっとも、金属相場の下落は原油需給の緩和を直接に示唆するものではない。最終的に世界の景気動向が堅調を続けるかどうかが、原油相場動向を決める大きな要因になってくると考えられる。

原油レポート No.111 ＯＰＥＣ増産でも、原油相場高止まりの背景

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