１．原油市況～90ドルをはさんで推移

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は90ドルをはさんで推移している。11月20日に1バレル＝99.29ドルの過去最高値をつけた後、ＯＰＥＣの増産期待から90ドルを下回る水準に下落したが、増産が見送られると、米国の原油在庫の減少などから需給逼迫懸念により持ち直した。その後は投機買いの一服や堅調なドル相場を背景にじりじりと値を下げたものの、在庫が引き続き減少したことから90ドルで下げ止まった。

11月から実施されたＯＰＥＣの増産は小幅であり、足元の原油需給は引き締まる方向にある。こうした中、12月5日のＯＰＥＣ総会では追加増産が見送られたため、足元の原油在庫は減少が続いており、相場の押し上げ要因となっている。しかし、原油在庫の水準は過去の平均に比べて低いわけではなく、石油製品高による景気や石油需要への悪影響も懸念される。2008年初めにかけて、原油相場を押し上げたとみられる投機的な動きは一段と弱まるとみられ、相場は軟調な推移が予想される。2008年後半については、米国経済の持ち直しや新興国の高成長などによる世界景気の再加速を背景に、原油相場は再び上昇に向かうとみられるが、当面、1バレル＝100ドルを上回る可能性は小さくなりつつあると考えられる。

２．トピック～米国で新エネルギー法が成立

12月19日、米国で2007年包括エネルギー法が成立した。法律は自動車の燃費規制強化と、バイオ燃料の使用義務明示の２つが大きな柱となっている。燃費効率の改善とバイオ燃料の利用拡大により、2017年までにガソリン消費を２割抑制することが見込まれる。米国ではバイオ燃料の普及が遅れているものの、最近では混合ガソリンのエタノール比率を引き上げる規制緩和が広がりつつある。また新法には原発推進に向け政府保証を拡大させる内容も盛り込まれている。

エタノール混合ガソリンの普及テンポが加速すれば、ガソリン消費量を減らし、原油相場の上値を抑制する要因となろう。エタノールの供給拡大には課題があるものの、石油会社の設備投資動向や、新興国の成長の持続性とともに、原油相場の中長期的な動向を規定する一つの要因になるとみられる。

原油レポート No.118 米国で新エネルギー法が成立

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