１．原油市況～年初に100ドルを突破

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、1月3日に史上最高値となる1バレル＝100.09ドルをつけた。地政学リスク、ドル安、原油在庫の減少などを背景に投機的な買いが強まり、再び原油相場は押し上げられた。

しかし、世界の石油需要に大きな影響を及ぼす米国景気は減速感を強めている。昨年後半からの原油相場の上昇は急であり、米国では新興の航空会社が破綻するなど、原油高が景気を抑制する力も強まっているとみられる。ドル安などを背景に投機的な原油買いが続きやすい状況だが、実需面では、景気の先行き不透明感を背景に原油の購入を見合わせる動きが出てくるであろう。米国では、1月中旬に気温が上昇し暖房需要が抑制されると見込まれるほか、年末要因の剥落や輸入原油の荷動き回復が見込めることもあり、原油需給が緩むであろう。目先、原油相場は調整する可能性がある。

２．トピック～石油資源の特徴と枯渇リスクについて

世界経済は資源制約という大きなリスクに直面しているとの見方がある。一次産品の価格高騰が続く中で、原油など天然資源の枯渇も意識されている。

しかし、石油資源は物理的に枯渇する可能性はほとんどないであろう。結局のところ、多数の代替品が存在するからである。石油が採掘しにくくなれば、石炭、天然ガス、メタンハイドレート、太陽光などのエネルギーを、熱源や動力源として代替利用することができる。さらに、採掘技術の進歩により埋蔵量が増えることや、省エネルギー化も見込める。

現状をみると、新興国を中心に世界経済が拡大して、エネルギーや原材料としての原油需要を高めている。しかし、80年代後半ほどではないが埋蔵量はコンスタントに増えており、さらに世界経済全体でみれば、新興国への技術移転などにより省エネルギー化が進んで、2000年代に入って代替エネルギーの利用も再加速しつつある。

地球温暖化対策として二酸化炭素の排出量を抑制する動きが各国で強まってくることもあり、これまで以上に、省エネルギー化や代替エネルギーへのシフトが進められることになろう。当面、原油の可採年数が大幅に減少する可能性は小さいであろう。

原油レポート No.119 石油資源の特徴と枯渇リスクについて

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