１．原油市況～高値更新後は90ドル台に下落

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、17日に史上最高値となる1バレル＝111.80ドルをつけた後は軟調に推移し、20日には98.65ドルまで下落し、その後は100ドル前後で推移している。米国の信用懸念がいったん小康状態を取り戻し、ドル安に歯止めがかかったことが売り材料となった。

ドル安・原油高の動きには修正がみられるものの、米国の信用懸念は根強く、小康状態は一時的なものにとどまる可能性もある。このため、再びドル安が進行する局面では、原油相場も騰勢を強める可能性があろう。しかし、相場は昨年から一本調子で上げており調整が入りやすい地合いにもある。米景気の後退懸念が強まる中、原油在庫の上昇が続いていることもあり、需要減少期を迎える4、5月には、80ドル台に反落する可能性がある。

２．トピック～日本の省エネ技術が世界標準になると･･･

原油高が続いても1970～80年代のような高インフレが起こる可能性は小さいとみられるが、それでも原油高は石油輸入国の家計の収入や企業の利益を減少させる要因であり、経済にはマイナス要因になる。

石油の輸入国にとって、原油高の景気への悪影響を緩和する直接的な方法は、代替エネルギーの利用か省エネルギーの推進になってくる。特に、省エネルギー技術は、確実に地球環境保全や温暖化ガスの抑制につながるものであろう。

仮に、各国が日本と同程度の原油原単位を実現したら、世界の原油需要の3割強を節減できる計算になる。日本は省エネルギー技術に優れている一方で、さらに国内で省エネルギーを推進するのはコスト高などにより難しい面もあるとされる。「ポスト京都」を巡って各国の駆け引きが行われる中で、国土が狭く、天然資源に恵まれている訳でもない日本が交渉に使える材料はそれほどないかもしれない。しかし、日本が地球環境問題で世界に貢献できる方法は限られているとしても、それは必ずしも小さなものではないのではなかろうか。

原油レポート No.124 日本の省エネ技術が世界標準になると･･･

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ