１．原油市況～112ドルの高値更新

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、3月17日に史上最高値となる1バレル＝111.80ドルをつけた後は100～107ドルのレンジ内での推移が続いたが、4月9日には112.21ドルと史上最高値を更新した。

原油相場は横ばい圏で推移した間も終値では100ドル台を維持しており、依然として高値圏での推移が続いている。米国の信用懸念は根強く、再びドル安の動きが強まれば、原油相場も一段と上昇する可能性があろう。しかし、相場は昨年から一本調子で上げており、調整が入りやすい地合にもある。上値の重さが意識され始めており、原油在庫の上昇が続く中、世界景気の減速感が鮮明になれば、需給面から相場は崩れやすい局面にある。原油相場は、目先年央にかけて、いったん90ドル前後に反落する

２．トピック～拡大する排出権取引市場

温暖化ガス削減に向けた取り組みが世界的な潮流となっている。京都議定書では、2008～12年の平均排出量について、1990年を基準にした削減目標を設定しており、今年はその初年度にあたる。

温暖化ガス削減目標達成のための重要な手段として定着しつつあるのが排出権取引である。排出権取引は、予め定められた排出削減目標の過不足を、相互に取引する制度である。2005年から取引所取引が開始された欧州では、排出権の初期分配が過剰であったことから、当初は排出権相場が暴落する時期もあったものの、その後は相場は安定した推移が続いており、取引高も急拡大している。

排出権取引の拡大は、代替エネルギーへの転換を促すとともに、新たな金融商品としての期待も高まっている。各国政府や企業は、エネルギー政策の転換を見据えた積極的な取り組みが求められている。

原油レポート No.125 拡大する排出権取引市場

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