１．原油市況～高値更新し、一時126ドル台

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、ナイジェリアでの生産障害など供給懸念を材料に連日で過去最高値を更新し、9日には126.27ドルをつけた。

一方で、米国景気の先行きに対する過度の悲観論が後退しつつあり、原油高の要因とされてきたドル安には歯止めがかかりつつある。相場は昨年から一本調子で上昇しており調整が入りやすい地合いにあるともいえる。

実需面でも、ガソリン高やディーゼル高による一時的な需要減退や景気への影響が意識され、さらに重油から天然ガスへの代替が表面化するとみられ、一段の価格上昇にはОＰＥＣをはじめ産油国からも警戒感が強まる可能性があろう。米国では、景気減速やガソリン価格上昇により、ガソリン需給のひっ迫懸念は例年ほどには強まらないともみられ、年央にかけては、いったん100ドル程度まで反落する可能性があるとみられる。

２．トピック～ロシアの生産低迷と原油需給のひっ迫

世界最大の原油生産国であるロシアでは、今年に入り原油生産が10年ぶりに減少に転じた。国家管理を強めるエネルギー政策による開発投資の停滞が背景にある。

ロシアの原油生産は、社会主義崩壊の混乱により90年代を通じて減少したが、2000年に発足したプーチン政権がエネルギー政策を重視し、積極的な外資導入をはかったことから顕著な回復を示した。おりから新興国で原油需要が増大した時期にあたり、ロシアはОＰＥＣとともに、世界の原油需要の増加に対応してきたといえる。

ОＰＥＣの原油生産が横ばいにとどまっている中で、ロシアの原油生産が落ち込んで行くと、目先の供給懸念を強めるおそれがある。ナイジェリアやイラクの生産低迷が続いていることもあり、需給ひっ迫が喫緊の課題として認識されることになると、原油相場やОＰＥＣの生産動向に与える影響は大きくなる可能性がある。

原油レポート No.127 ロシアの生産低迷と原油需給のひっ迫

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