１．原油市況～135ドル台に上昇

原油相場（ＷＴＩ、期近物）は、5月21日の終値で1バレル＝133.17ドルを記録し、その後の時間外取引では135ドル台まで上昇した。21日に発表された米国の週次石油統計では、大幅な原油在庫の減少が示され、需給逼迫観測が強まった。

原油相場の上昇テンポは一段と速まっている。しかし、原油相場は2007年の平均である72ドルから60ドル以上も上昇した水準にある。世界の原油需要は年間300億バレル強であり、仮に原油相場が1バレルあたり60ドル上昇すると、年間2兆ドルも石油ユーザーの負担は増えることになる。原油輸入国の経済は、原油高によって大きく下押しされることが懸念される。

石油の需要面では、価格高による需要減退や重油から天然ガス等への代替が表面化するとみられる。夏場にかけて、ガソリン需要の増加観測が強まりやすく、原油相場の上昇は続く可能性がある。しかし、実際には景気減速やガソリン価格上昇により、米国のガソリン需要は抑制されるとみられ、年末にかけて、いったん100ドル程度まで反落する可能性があろう。

２．トピック～北京オリンピックと中国のガソリン需要

欧州域内で余剰になったガソリンが北米を中心に輸出に回され、北米のガソリン需要も景気減速や価格高の影響により抑制される傾向がみられる中、世界的にもガソリンの需給がやや緩むかにみえていた。しかし、足元では、中国がガソリン輸入を増やしており、ガソリンの国際需給を引き締める要因として注目されている。

従来、ガソリンの純輸出国であった中国が、5～6月にはガソリンの純輸入国に転じる可能性が高まっており、アジアにおけるガソリンの需給逼迫観測につながっている。しかし、中国要因によるガソリン需給の引き締まりは、オリンピック後には一服してくる可能性がある。オリンピック後にかけて、ガソリンの国際需給は緩和する一方で、中国やインドの製油所が輸入するとみられる中東産原油の需要は増えることが見込まれる。

原油レポート No.128 北京オリンピックと中国のガソリン需要

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